気に入る写真の無い時の遺影の選び方

遺影写真の持つ意味

 

故人の最後の印象を決める大切な遺影写真。

生前の人柄のイメージに合った良い写真を用意したいものですが、急な葬儀で、なかなかいい写真が見つからないということはよくあることです。遺影写真の使い方として、一般的には、葬儀の際に会場で祭壇に飾られた後は、自宅で後飾り壇や仏壇の近くに飾られます。遺族にとって、遺影写真は、故人との思い出や人柄を偲ぶ大切な写真です。そして、故人にとっては、自分を遺族や知人に印象づける最後の記録となります。

自分で選ぶ遺影写真

 

通常、遺族が葬儀前の忙しい時間を使って、故人の遺影を選ぶことが多かったのですが、最近では、生前に自分の葬儀の遺影を選ぶ人も増えつつあります。特に、女性は、自分の気に入った写真を使ってほしいという気持ちから、気に入った髪形や洋服を着ている写真をあらかじめ選んで、家族に常々冗談交じりに、「私のお葬式にはこの写真を使ってよね。」などと言っていたりします。

女性は比較的合理的なのか、自分の死を冗談交じりにでも話せてしまいますが、男性で、特に普段から写真に写る事が大嫌いだったという人は、何十年も写真をとっていないということがあり、いざ葬儀の場合に、20代の結婚式の写真にまでさかのぼってしまうという人もいてびっくりします。最近の50代、60代の人であれば、そんな極端なことはありませんが、80代の人になると、老人会でみんなで何かを食べている様な写真などはあっても、まっすぐ正面をむいた顔写真が無いという人もいて、遺影選びに家族が苦労していたりします。

 

写真の少ない人のお助け!遺影写真のデジタル加工

 

遺影写真は、最近では、画像のデジタルデータをメールで依頼することもできます。「最近、ほとんどカメラで撮影していないけれど、そう言えば、この間、家族でお花見に行った時に、桜並木の堤防沿いで写したスマホの写真があるから。」という場合は、その家族と写っている故人の写真データを提出します。後は、葬儀社の方でデジタル加工してなんとかしてくれます。一緒に写っている家族を削除し、明るさなどの調整もして、くっきりとした顔写真を完成させてくれます。なんなら、背景や来ている洋服が気に入らなければ変えてくれます。製作時間も、加工の度合いによっても異なりますが、ほんの数時間で作成が完了することもあります。

 

 

遺族にとっての遺影選びは大切なグリーフワーク

 

故人の最後の大切な記録となる遺影写真。遺族にとっては、故人の最後の印象を決める重要な仕事と捉えている人も少なくありません。遺影選びで、嫁と、姑や、兄弟で意見がわかれて喧嘩する家族も出る始末です。そのくらい、故人に対する各人の持つイメージは違い、世間の人にアピールしたい性格や功績、家族しか知らない弱い部分等、表現したいイメージもさまざまです。

 

英語で悲嘆を意味する言葉「グリーフ」。身近な人との死別によって深い悲しみに直面し、喪失感から無気力になったり、故人の死を受け止められなかったりする症状をいいます。この時、遺族が悲しみを乗り越えるのは、遺族本人しかできないのです。いくら周りが、慰めたり、寄り添ってともに悲しんだりしても、その深い悲しみの淵からあがってくるのは、遺族本人の力がなければできません。では、どうしたら、その深い悲しみから立ち上がり、再び前を向いて生きていく気持ちの整理をつけられるのでしょうか。その手助けとなるのが、まさに、遺族自身で選ぶ遺影写真作りなのです。こういった遺族が自ら悲しみから立ち直るための過程を「グリーフケア」と呼んでいます。遺族が自ら故人の遺影を選ぶなどの「グリーフワーク」(作業)を行うことで、悲しみを乗り越えるための1ステップになります。気に入る遺影写真が見つからなくても大丈夫。加工の元となる写真を葬儀社に提出しましょう。後は、「服を変えて、もう少し、明るい色彩で」等、要望を伝えれば結構です。後は、葬儀社が遺族の納得する写真を作成してくれるはずです。