心のこもった弔辞でお見送りを

身近な人に不幸があった場合、弔辞を依頼されることがあります。

訃報は突然訪れるため、突然の弔辞の依頼にとまどった経験のある人も多いのではないでしょうか。

弔辞は故人に手向ける言葉と考えられており、故人に語り掛ける内容となるため、心のこもった弔事でお見送りをしたいものですよね。

弔辞を依頼された時に慌てる事のないよう、弔辞のマナーや内容についてお話ししていきたいと思います。

 

 

弔辞とは?

 

弔辞とは、故人への悲しみや悼む気持ちを表した言葉の事をいいます。

主に故人と親しかった人が葬儀で披露し、遺族側から依頼されるのが一般的です。

また、故人に手向ける言葉とされ「死者へ送る最後の言葉」となるため、通夜で読まれるケースは少なく、告別式や葬儀で読まれる事が多いです。

 

弔辞の内容について

 

弔辞の大きな特徴は「語り掛ける相手は、あくまで故人である」というところです。

葬儀でのあいさつの多くが「喪主(喪家)側から参列者へ」「僧侶から参列者へ」「葬儀社のスタッフから参列者へ」「参列者から喪主(喪家)側へ」というように故人に対しての挨拶よりも「その周りの人」に対して行われます。

しかし弔辞は、故人に対して行われる挨拶となるので心のこもった内容が求められます。

そのため呼びかけは「○○さん(故人の名前。友人代表の場合は呼び捨ての場合も)」「○○先生」のように普段読んでいた愛称で呼ばれることが多いです。

葬儀でのあいさつのほとんどが堅苦しい口調となりますが、弔辞の場合は口語調となります。

また、故人との思い出を振り返るような文章が多く、生前の故人との関わりを強く打ち出した内容を読み上げます。

 

弔辞のマナー

 

弔事を読む際の流れ

弔辞を読む際は、まず遺族に続いて故人に一礼してから読み始めるのがマナーです。

弔辞の上包みは巻紙の下に重ねて持ち、弔辞台がある場合はその上に置くのが良いとされています。

目線が下がりすぎてしまわない高さで持ち、心を込めて読みます。

読み終えたら元のように包み、故人と遺族にそれぞれ一礼してから戻ります。

 

弔事の書き方

正式な弔辞の場合は、大判の奉書紙か巻紙に薄めの墨で書くのがマナーとされています。

原稿は表に「弔辞」や「弔詞」と書いた奉書紙で包みますが、左右どちらが前にくるかを間違えないように注意しましょう。

慶事は右前、弔事は左前とするのがマナーとなっています。

上記のような書き方が正式なものとなっていますが、近年では便箋に万年筆で書き白い封筒に入れる略式が多くみられるようになりました。

略式の場合は、二重の封筒ではなく一重のものを使用するのがマナーとなっているので注意しましょう。

二重の封筒は「不幸が繰り返す」と言われていて、縁起が悪いと考えられているためです。

 

重ね言葉はマナー違反

重ね言葉を弔事に使用するのはマナー違反となるので注意が必要です。

重ね言葉は以下ようなものが挙げられます。

 

重ね重ね

たびたび

またまた

重々

いよいよ

再三

再四

ますます

返す返す

しばしば

なお

再び

続く

追って

次々

 

など…

 

言い換える必要のある言葉

死者との別れ→永別・別離・訣別など

悲しみ→悲哀・悲痛・哀愁・傷心・慟哭・痛恨など

看病→介護・手当・介抱・手を尽くすなど

恩を受ける→大恩・恩義・恩人・恩情など

事故→不慮の出来事・奇禍・災禍・災難・悲運・危難など

弔辞の構成について

 

1.故人との関係性を話す

「○○○でございます。友人といたしまして、謹んで告別の言葉を申し上げたいと思います」

というように、自分の名前と故人との関係性を簡潔に紹介します。

 

2.故人の人となりを紹介する

「○○君、君とは大学の登山部で知り合いましたね。ちょうど大学4年生の3月でした。卒票を前に、君と2人だけで○○山に登った時の事を今でもよく思い出します」

というように、エピソードを交えながら語り掛けるように紹介するケースが多いです。

2~3戸程度のエピソードがあると丁度よい長さで故人の人となりを紹介する事が出来ます。

 

3.冥福をお祈りする言葉を述べる

「なごりはつきないけれど、これからは君の分も君の家族を大切にしていこうと思う。これまで本当にありがとう。君の冥福を祈ります。どうか安らかに眠ってください」

というように、感謝や敬意を示す言葉の後に、お別れの言葉を伝えます。