見直したい装いのマナー③~女性の略正装~

女性の略礼装

 

突然の知らせに、礼装を準備できない時のお通夜へ参列する時、近親者ではなく一般会葬者として葬儀や告別式に参列する時などに略礼装を心がけます。近親者でも三回忌以降の法要に参列する時から略礼装にするご遺族もいらっしゃいます。正式礼装や準礼装と大きく違うところは、黒色に限らないという点です。略礼装のために礼服としての用途の服装を準備する必要はありません。

  • 上着

ワンピースにジャケットを羽織るアンサンブルタイプでも、スカートとジャケットが別々のスーツタイプのものでも、パンツスーツでも構いません。ジャケットのインナーとなるものはできるだけ首のつまっているものを着用します。白いシャツは首元から明るさが出てしまうので避けます。

ジャケットは黒色に限らず、ダークグレーやグレー、紺色などであれば問題ありません。季節によっては黒色で肘まで隠れる暗い色のブラウスに長いスカートなど、必ずジャケットを着用しなければならないということはありません。

 

  • ボタン

スワロフスキーなどの装飾の意図が強いデザインは控えます。オーソドックスな、一般的な会社やリクルート時でも着用できる程度のものであれば材質などは問いません。

 

  • 生地

ストライプやチェックなど柄のあるものは控えましょう。それ以外は、暗めの色で、上下がスーツになっていなければならない制限はありません。透け感のあるものは華やかな印象になってしまいますので、相応しくありません。

 

  • バッグ

バッグは正式礼装の時と同じように、礼装用のバッグを持つようにします。小型で布製の、手提げのものかクラッチバッグのデザインが一般的です。ショルダーになるものや大きすぎるものなどは弔事の場では相応しいとは言えません。しかし、仕事先からそのままお通夜の会場に向かう場合などやむを得ない場合に、礼装用のバッグを買い足す必要はありません。また若い人で礼装用のバッグを持っていない人も、黒などのなるべく地味なバッグで参列するようにしましょう。

 

  • ストッング

黒のストッキングを着用するのが一般的ですが、肌色のストッキングでも失礼にはなりません。

 

準備できれば黒色のシンプルなパンプスが適していますが、それに近しいものであれば使用することができます。グレーや紺色、茶色など暗めの色であれば問題ありません。ピンヒールの靴などは華やかな印象になりますので控えましょう。

弔事の際のコート

 

季節によっては礼装だけで出歩くこともできますが、冬はどうしても礼装の上にコートを着ることになります。その際もなるべく暗めの色のコートを着用します。黒色やグレー、紺色でウールのコートを選びましょう。ダウンジャケットやムートンの素材は、カジュアルな印象となりますし、礼装には合いません。どうしても他に持っていない時は会場に入る直前に脱いで手元に畳んでおきましょう。儀式の間も、上着の着用をしないのがマナーです。

その他のマナーについて

 

香りの強いものは弔事にはそぐわないので、香水や匂いの強い化粧品などは控えましょう。清浄なお線香が汚されるイメージもあり、快く思われないからです。

ネイルは急なお通夜に参列する時は取り除く時間がないこともありますが、翌日の葬儀や告別式では落としておけると良いですね。ネイルサロンなどに行かなければ落とすことができないようなジェルネイルやスカルプチュアネイルなどは難しいかもしれませんが、自宅でもできるマニュキュアは取り除いておくのが望ましいです。

 

髪型については見直したい装いのマナー②で述べましたが、髪の毛の色についてはすぐに変えるのが難しいこともあるかもしれません。近親者に近ければ近いほど、身だしなみには気をつけたいものです。故人が亡くなられてすぐに美容院に行くことができなくても、一周忌の前までに華美な髪色を抑えておくなど、喪に服するというのはあらゆる場面で死を弔う気持ちが大切です。

昔は長い日数を喪に服して、扉を締め切り、死を悼むものでした。そこまでの決まりはない現代だからこそ、故人に対しての哀悼の気持ちを様々な形で現すことも求められていると言えるのではないでしょうか。