中国の葬儀

日本にも独特の文化があるように、世界各国でもその国々で文化が異なります。

隣国である中国とも様々な文化の違いがありますが、葬儀の形式も日本とは異なる事をご存知でしょうか?

日本とは異なる為、ちょっと驚く面もありますが素直な感情が現れた葬儀となっています。

そんな中国の葬儀についてお話ししたいと思います。

【中国の葬式文化】

日本と隣国である中国ですが、日本とは少し異なる葬式文化もあります。

・紙銭

日本でも、三途の川の渡り賃として硬貨を模した紙を棺に入れるという習慣がありますが、中国でも似たような習慣があります。

中国では、紙銭という紙幣を模した紙を焼く儀式が行われており、紙銭を行う事でお金が煙となって向こうの世界まで届くとされています。

近年では中国元だけでなく、ドル紙幣などを模したものや家の模型・銀行の模型などを燃やすといったケースも見られます。

 

・葬式は派手に行う

日本の葬式のイメージは厳粛なイメージがありますが、中国ではできる限り賑やかな葬儀を行うのが良いとされています。

供物を会場いっぱいに並べ、銅羅や爆竹の音が鳴り響かせ、お金をばらまいたりといった事を行う場合もあります。

日本と比べると葬式自体の規模も大きい物となっており、行列が数キロにわたって続く光景も見られます。

共産党員においては、近年の汚職取り締まり強化にあわせて「お葬式の規模で共や人脈を誇示しないように」と通達が出されている程です。

 

・ストリップショー!?

中国の葬儀では、盛大で派手なものが好まれていますが、その一環としてストリップショーを行う習慣があり近年問題となっています。

2015年4月に、中国文化省からこの習慣に対する禁止声明が発表されています。

 

・泣き女

近年、メディア等でも取り上げられる事も増えたため、聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。

泣き女は「葬式へ参列し、盛大に泣く」といった職業で、イギリスやエジプトをはじめ中国でもこの文化が根付いています。

日本の厳粛な葬儀では考えられない光景ですが、中国では遺族たちも悲しい気持ちを隠すことなく全身で表現する為、思いっきり泣くという行為に違和感を感じる事はないようです。

悲しみを思いっきり表現するという風習は、故人の死をしっかりと受け入れる為に必要なものなのかもしれません。

 

【中国の死生観】

どの国でも人が亡くなった際には葬儀を行いお別れをしますが、国によって葬儀のやり方も考え方も異なります。

隣国である中国でも、日本の一般的な死生観とは違う考えを持っています。

日本では成仏できるように・安らかな眠りにつけまるようにと葬儀を行いますが、中国では人が亡くなったら死後に暮らす場所があるとされており、そこで現世よりも良い暮らしが出来るようにと願いを込めて供養を行います。

また、中国は儒教の考えを持っている為、血族意識がとても強い民族であると言われています。

伝統ある葬儀を盛大に行い、立派なお墓に入る事が子孫繁栄につながると信じられている為、盛大に悲しみ、たくさんの参列者を望みます。

現代では人が亡くなったら火葬する事が義務付けられていますが、伝統ある葬儀を行うという意識が高い事から、火葬は全体の3割程度にとどまっていると言われています。

 

【中国の葬儀でのマナー】

日本では葬儀に参列する際は喪服を着用するのが一般的ですが、中国では葬儀を象徴する白と黒の服を着用する事が多く、アクセサリーは基本的につけません。

お花を用意する場合は白い菊が理想的ですが、地域によってしきたりが異なるので葬儀に参列する際は現地の花屋さんに確認しておくと安心です。

お香典の金額は奇数にするのがマナーとされていますが、中国では9という数字を縁起の良い数字としている為、9は使いません。

友人なら500元から1000元、知人・同僚の場合は300元ほど包むのが一般的とされており、香典袋ではなく白い封筒に入れます。

 

 

贈答用線香について

現代では葬儀などにはお香典を贈りますが、元々は現金を包むのではなくお香やお線香を贈るのが本来の意味であったといわれています。

そんな考えから、お葬式や法事の際の贈り物として贈答用線香を贈る風習があることをご存知でしょうか?

お線香の煙が故人を偲ぶ気持ちして伝わり、また感謝の気持ちも伝える事が出来る贈答用線香ですが、贈る際のマナーがあるので注意が必要です。

そんな贈答用線香についてお話したいと思います。

【贈答用線香とは】

お通夜やお葬式の際に「御霊前」や「お香典」という形で現金を持参する人が多いかと思いますが、別の方法としてお線香を贈る事で故人を偲ぶ気持ちを伝える場合があります。

ろうそく・お花・ご飯・水・お香の5つのお供えは五供と言われており、仏様へのお供えの基本となります。

中でも「お香を焚く」という行為は、仏様やご先祖様に香りを楽しんでいただくものとなり、お線香をあげる私たちの日々の生活の中で汚れてしまった心身を清めてくれる役割もあります。

その為、お線香を贈る事で故人を偲ぶ気持ちが伝わるとされています。

 

【贈答用線香を贈るタイミング】

近年では、家族葬など親族や親しい方のみの少人数で営む葬儀が増えている為、喪中はがき(年賀欠礼状)によって訃報をするケースも増えています。

その際の対応として「お香典を送る」「喪中見舞いを送る」といった方法があります。

・お香典を送る

お香典を送る場合は、不祝儀袋に香典として現金を入れて送ります。

できれば直接手渡しするのが望ましいところですが、時間の都合や遠方の場合は難しいため、郵送することは失礼には当たらないとされています。

・贈答用線香を送る

喪中見舞いとしてお線香を贈ります。

また、お線香の他にもろうそくを贈るケースもあります。

 

他にも贈答用線香を贈るタイミングとして、親戚や知人の葬儀や法事の際に故人を偲ぶ気持ちとしてお線香を贈ることもあります。

御霊前やお香典として現金を包むのも良いですが、お線香には故人を偲ぶ気持ちが込められているので贈り物として良いとされています。

 

【贈る際に注意する事】

・贈り先の宗派を調べる

お線香は仏教で使うものとなるので、相手が神教やキリスト教の場合に贈ってしまうのはマナー違反となるので注意が必要です。

まず、相手の宗教を調べてから贈り物をするようにしましょう。

・煙に注意

昔ながらの日本家屋などにお住まいで、日頃からふすまを開けて部屋を使っている家庭では煙の量が多い線香を好む場合もありますが、マンションなどの集合住宅にお住いの方に贈る場合は注意が必要です。

あまり煙の多い物を贈ってしまうと、煙探知機が作動してしまう可能性があります。

さらに、マンションなどの機密性の高い住居では、線香の煙や香りがいつまでも部屋に残る場合があり不快に感じる事があるかもしれません。

その人の好みにもよりますが、煙が少ないタイプを好まれる場合は小煙タイプのお線香なども販売されているので、住まいや好みを確認しておくと安心でしょう。

・お線香の機能

お線香は長さも選ぶことが可能なので、贈る相手の生活スタイルにあったものを贈ると良いでしょう。

火事や火の始末を考え、短いものや時間が決まっている物や、半分に折れるように折り目が入っている物もあるので、どのタイプのものが喜んでもらえるか考えましょう。

・贈答用を贈る

お線香の種類は様々ですが、贈答用線香として家庭用のお線香を贈るのは失礼に当たってしまうので注意が必要です。

スーパーなどで購入する事が可能な家庭用のお線香ではなく、箱に納められている進物用のお線香を贈るようにしましょう。

 

【贈答用線香の贈り方】

・表書き

贈答用線香を贈る際には、のしをかけて贈ります。

<御霊前>

四十九日まで

<御仏前>

(浄土真宗の場合)四十九日まで

<御仏前>

四十九日以降

<御供>

四十九日を過ぎる可能性がある場合

 

年忌法要の際には「御仏前」または「御供」とします。