精進落としで出すべき料理とは?

葬儀にまつわる料理のひとつに「精進落とし」があります、精進落としは参列してくださった方へ、お礼を込めて振る舞う料理なので、メニューや価格など予算を踏まえ、苦心されるかと思います。

今回は、精進落としで出すべき料理とは何か、ご紹介していきたいと思います。

「精進落とし」の意味とは

お通夜の後の食事を「通夜ぶるまい」といい、法要後にふるまわれる食事を「精進落とし」といいますが、昨今では、喪主が手配し、僧侶や参列者をおもてなしすることが目的となっています。

しかし本来は、親族が亡くなった際、仏教の考え方では、肉や魚を断ち精進料理を食し故人の冥福を祈り、四十九日の忌明けに、精進落としとして通常の料理に戻すという節目を意味していました。

時代の変化とともに、かつての意味や、四十九日までの間、喪に服して過ごす風習が薄れていき、一族が集まって会食をするという形だけが残り、初七日法要の際に僧侶や会葬者を労うための宴席へと変わっていき、現代では葬儀当日に火葬場から戻った後、故人への供養や会葬者へのお礼と、お清めの意味みの宴席を精進落としと呼ぶ事が一般的となっています。

 

精進落としを振る舞う際にすべきこととは

現代では参列者への感謝を伝える宴席という意味合いが強いので、喪主・施主がお店や料理の内容を決めて手配しますが、メニューなどは、予算や好みに見合ったものを比較的自由に選択できますが、お店選びなども含め、不安な点があれば親族だけでなく、葬儀社に相談して決めていくのも良いでしょう。

 

・参加人数の把握

火葬場へお越しいただいた参列者を呼ぶのが一般的ですが、その殆どは親族や生前に故人が親しくされていた方になりますので、人数は予め把握できるでしょう。

会葬者として火葬場へ行かれるかどうか伺う際に、精進落としへの参加の有無も聞いておくと、お料理の手配やお店の予約もスムーズになります。

参加人数が多い場合には、参加者全員分の座席を確保できるお店かどうか、ゆっくりと歓談できる場所を手配する必要がありますので、まずは参加人数を把握することが大事です。

 

法事・法要でおつとめをして戴いた僧侶を労う席でもあるので、僧侶にも参加をお願いしますが、ご都合によっては断られることもあります、その際には食事の代わりとして「御膳料」をお渡しします、御膳料の相場は5000円~10000円となります、白い封筒に準備し、表書きに御膳料と書き、「お車代」があればそれと一緒に渡します。

 

・用意する料理の内容とは

基本的には親族や親しい間柄の方々などと、予め参加者がわかっている精進落としの席ですので、年齢層や好みを考慮して、食べやすいお料理や季節の料理などを出すと喜ばれるでしょう。

 

精進落としとして、よく選ばれるものに、仕出し弁当・オードブル・懐石料理・お寿司がありますが、お店によっては精進落とし専用メニューを用意されていたり、予算をお伝えし、精進落としとしてふるまうと伝えれば、予算に見合った料理を作ってくれるお店もあります。

 

お酒は参列者の希望をうかがい、所望されれば、お出ししましょう。

 

今ではメニューについて特に決まりはなく、自由に選べますが、弔事の席ですので、“おめでたい食材”は避けるのがマナーです。

参列者をもてなそうと誤って選んでしまうこともあるかもしれません、“伊勢海老・鯛”などは避けるように注意しましょう、他にも、地域の祝い膳で出される料理があれば避けた方が無難でしょう。

あくまでも故人を弔う葬儀の一貫の食事ということを忘れてはなりません。

 

※本来の精進落としは、精進料理を振る舞うのがマナーとされていました、精進料理とは、仏教の教えを守り、生き物の殺生を避けて支度された料理をいい、多くの使ってはいけない食材があるのです、もし地域の風習などで精進料理を求められた場合には以下の食材を使わないよう注意しましょう。

「肉・魚・卵・乳製品・五葷(ごぐんと読み、にんにく、玉葱、ネギ、韮、辣韮の匂いの強いネギ科の野菜)」

 

まとめ

本来の意味が薄れ、参列者をもてなすこととなった精進落としの席ですが、弔事の一つとして大事な席に変わりはありません、故人を偲び、親類縁者で思い出を語り合うことが何よりの供養となるのではないでしょうか、是非参考になさってください。

お清めの塩について

通夜、告別式に参列した際、会葬礼状や会葬御礼などに『御清め塩』などと記された小袋が同封されていることがあります。小袋の中身は身体を清めるために用いるお塩です。お清め塩について、またその使い方などについて見ていきましょう。

『お清め塩』とは

「お清め塩」は通夜や告別式から帰宅した際に、自宅に入る前に門前や玄関前で体に振りかけるように使います。規模の大きい告別式などでは葬儀場を出る際に必ず塩を踏みしめてから外へ出ることができるように、葬儀場の出口付近、参列者の通り道に塩が敷かれるケースもあります。塩を踏みしめることで、塩を体に振り掛けると同様に身を清めることができるのです。

 

塩で身を清める風習はその起源が『古事記』にも記されるほど、神道にはなくてはならないものです。伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が妻のいる黄泉の国からこの世に戻る時に、穢れ(けがれ)を祓う再生の儀式として海水につかって禊(みそぎ)を行ったことが始まりです。この「海水」が「お清め塩」となったとされています。穢れを祓う儀式といっても、死者のいる黄泉の国や死者を「けがれ」としているわけではありません。けがれは「気枯れ」と書くもので、生きる力が枯渇している状態を指しています。愛する者の「死」を前にして感じるどうしようもない悲しみや喪失感は、生きる気力を失った、まさに「気枯れ」の状態です。この状態から自分を取り戻すために生命の源である海の力、海水=塩でけがれを祓うのです。

 

仏事での「お清めの塩」でも清めるべきは故人の御霊ではありません。天災や病などが長引くとき、塩で身を清めて厄払いをする、人の死の周囲にまとわりつく「邪気」を祓うというという日本で古来より続く風習です。一方で死を穢れとはとらえない仏教では、「お清め塩」を使わない宗派、日本に伝わる習俗の1つと容認する宗派と様々です。お清め塩を準備しないという宗派もあるので、使用については自分自身での判断となります。仏事でのお清めは塩だけに限りません。通夜の後の「通夜振る舞い」でふるまわれる食事やお酒にも酒邪気を払う力があるとされています。「通夜振る舞い」をすすめられた場合は遠慮せずに頂きましょう。

 

お清め塩の使い方

お清めは自宅に戻って自宅の門の内側へ入る前、すぐに玄関であれば玄関の前、集合住宅の場合は自宅の玄関の前で行います。穢れを室内に持ち込まないように玄関をまたぐ前に行います。

①塩を1つまみとる

②体に振り掛ける

胸→背中→足元というように、血液の流れに沿うように順番に塩を振りかけていきます。 在宅の家族がいる場合は家族に、いない場合は自分で肩越しに手を回して背中にも振り掛けます。

③服についた塩を払い落とす

そのまま家に入れば、塩によって祓われた邪気が塩とともに家に入ることになります。服に付いた邪気を含んだ塩はしっかり払い落としましょう。

④足元に落ちた塩は踏む

足元に落ちた塩を踏み邪気を完全に断ち切ってから家に入ります。

 

参列後そのまま仕事に出るなどすぐに帰宅しない場合、葬儀会場を出た際に足元にお清めの塩をまいて踏んでおくことで身を清めることができるとされています。

 

お清めに使われる塩

相撲で力士が撒いている塩も土俵を清める「お清めの塩」です。仏事で使われる塩も土俵で使われる塩同様に海水100%で作られている塩が用いられます。宗教の考え方や地域に伝わる風習などによってはお清めの塩が用意されないケースもありますので、お清めの塩を使いたい場合は玄関先に自分で準備してから出かける必要があります。

 

お清めの塩は食用を考慮して作られてはいません。そのまま処分する、庭にまくなど食用することは避けましょう。