弔辞のマナーについて

親しかった方が亡くなってしまったとき、「弔辞」をご遺族の方から依頼される場合があります。「弔辞」を依頼された場合、注意することなどが色々とあるため、ここでは「弔辞のマナー」について、まとめました。

「弔辞」とは?

故人をしのび、別れを惜しむ気持ちをささげる言葉です。通夜式や葬儀・告別式の式中に、参列者の前に進み出て、祭壇に向かって立ち、用意した文書を両手で持ちながら読み上げるスタイルが一般的です。

「弔辞」を依頼される方は?

一般的には、ご遺族が故人との関係を考慮して、1~3人の方を人選します。ご遺族に依頼されたら、特別な理由がないかぎり、二つ返事で引き受けるのがマナーです。

具体的には、親しい友人、恩師・先輩・上司の方となります。また、近年では、孫が依頼されるケースも多くなっています。

内容は?

内容が重複しないよう、他に依頼された方の関係性などをご遺族の方におききし、把握しておくとスムーズです。

一般的には、3~4分程度の長さが目安です。読む速度によりますが、1000文字程度(原稿用紙2、3枚)を準備するとよいでしょう。

美辞麗句を並べたり、形式ばった書き方ではなく、素直に故人への思いを綴りましょう。また、ご遺族への慰めと励ましの言葉を添えることも忘れないようにしましょう。

一般的な構成は?

①故人への呼びかけと訃報を聞いたときの驚き

「○○さん」のようにフルネームで呼びかけるのが一般的です。上司や目上の方の場合は、肩書きなどをつけます。続けて、故人の死の驚きや悲しみを述べます。

②故人をしのぶエピソード

まず、故人と自分との関係を入れます。そして、思い出、故人の経歴、人柄、功績をたたえるエピソード、感謝の気持ちなどを素直に綴ります。

③ご遺族への言葉

故人の死を惜しむ気持ちとともに、遺族や近親者へのお悔みと励ましの言葉を述べます。

④結びの言葉

お別れの言葉で締めくくります。

注意する言葉

◆忌み言葉:不幸が重なることを連想させる言葉や、不吉なことを連想させる言葉は使ってはいけません。

・繰り返す言葉

「重ねる」「再三」「再々」「くれぐれも」「たびたび」「重々」「重ね重ね」「また」「いよいよ」「ますます」「返す返す」「次々」

・不吉な言葉

「切る」「離れる」「とんでもない」「浮かばれない」「九」「四」(苦しい、死ぬなどを連想させるため)

◆直接的な言葉:生々しい表現は避けて、言い換えましょう。

「死んだ」⇒「逝去(せいきょ)」、「永眠」

弔辞を書く際の注意点は?

弔辞は、読んだあとにご遺族にお渡しするため、丁寧に心をこめて書きましょう。基本は、自分自身の手で書きますが、難しい場合は達筆な方に代筆してもらうことも可能です。

正式な弔辞は、巻紙か奉書紙に、薄墨と毛筆を使って楷書で書いて、奉書紙で上包みします。最近では、市販の弔辞用紙、白い便せんや封筒を使うこともあります。

「弔辞」をお願いされたら、失礼のないよう、心をこめて故人に語りかけて下さい。

弔辞の内容や読み方について

「弔辞」をご遺族から頼まれた際、実際にどのような流れで読むのかなど迷う方も多いのではないでしょうか?ここでは、「弔辞」の内容や読み方について、ご紹介します。

「弔辞」をお願いされた場合

ご遺族は故人との関係を考慮して、故人と特に親しかった人や関わりの深い人などに依頼します。依頼された場合は、特別な理由がないかぎり、引き受けるのがマナーです。

「弔辞」は、故人を弔う言葉であり、送る言葉です。心をこめて準備しましょう。

「弔辞」の内容

他に依頼された方と内容が重複しないよう、故人との関係性をふまえた思い出話などを取り入れましょう。

一般的には、3~4分程度の長さが目安です。読む速度によりますが、1000文字程度(原稿用紙2、3枚)となります。

友人の場合

友人の場合は、生前呼び慣れた愛称などで呼んでも問題ありません。故人の生前の様子がわかるように、具体的なエピソードと共に述べます。ユーモラスな人柄の故人の場合、笑いを誘うような内容でも構いません。

上司や部下などへの弔辞

会社のエピソードは、ご遺族や親しい方でも知らない一面となる場合もあるため、できるだけ具体的に述べましょう。故人の仕事内容やポジション、功績なども踏まえて人柄を称えるのが一般的です。また、専門的な職業の場合は、専門用語などは使わないようにし、一般の方にもわかりやすいようにする配慮が必要です。

「弔辞」の書き方

弔辞を書く紙は、一般的に大判の奉書紙(ほうしょがみ/ほうしょし)か巻紙です。最近では、市販の弔辞用紙、白い便箋や封筒を使うこともあります。薄墨と毛筆を使って、楷書で書きます。

「弔辞」の包み方

①「弔辞」の文字が表面の中央に来るように、折りたたんだ弔辞文を奉書紙の真ん中に置きます。

②上下左右とも十分な余白ができる大きめの奉書紙で、右側が下、左側が上になるように包んだら、上下を裏へ折ります。

③包み終えたら、表の中央部分に「弔辞」と記し、下に記名をします。

「弔辞」の読み方

①司会者に呼ばれたら霊前に進み、僧侶とご遺族に一礼します。そして、ご遺影に向かって一礼します。

②「弔辞」をひろげて、両手で持ちます。

③故人に語りかけるように、心を込めて、静かに読み始めます。参列者に聞き取れるよう、早口にならないよう、ゆっくり、かつ明瞭な発音で、やや大きな声になるように心がけましょう。

また、棒読みにならないよう、かつ感情的になりすぎないように注意します。故人に自然に語りかけるように意識して読むようにするのがポイントです。

④読み終わったら、もとのようにたたんで、表書きをご霊前に向けて壇上に置きます。

⑤ご遺影に一礼し、更に僧侶とご遺族に一礼して席に戻ります。

「弔辞」をお願いされた場合、親しい方や関わりの深い方が亡くなり、動揺の中、準備するのは大変だと思いますが、故人との最後のコミュニケーションとなりますので、大切にして下さい。