告別式が終わると、柩は霊柩車(れいきゅうしゃ)に乗せられ、遺族に見送られながら火葬場まで搬送されます。
霊柩車といえば、黒塗りの車に豪華な飾り付けをされた車をイメージされる方が多いと思いますが、以前はよく見かけていたこの霊柩車も、近頃はほとんど見かけることがありません。
今回は、霊柩車について、霊柩車の種類や寝台車との違い、手配方法などについて解説します。
霊柩車とは
ご遺体を葬儀場から火葬場まで運ぶための専用車両を霊柩車と呼びます。
車体後部には棺を固定するレールやストッパーが装備されています。
霊柩車には数種類ありますが、霊柩車と聞いてまず思い浮かべるのは“宮型霊柩車”かと思います。
花鳥など豪華な彫刻や箔が施され、唐破風の屋根を載せたお宮が車体の後方に搭載されているタイプの霊柩車です。
かつて土葬が主流であった時代に、ご遺体を納めた輿が宮型霊柩車の原型とも言われていまますが、故人の搬送するものが輿から車両に変わってもその文化は継承されたようです。
霊柩車と寝台車との違い
霊柩車と似ている車両として、寝台車があります、どちらも遺体を運ぶための専用車両ですが、違うのは搬送ルートです。
霊柩車は葬儀場から火葬場へ搬送しますが、寝台車は病院などの故人がお亡くなりになった場所から葬儀場やご自宅など、安置場所へと搬送します。
言い換えれば、葬儀前に使用するのが寝台車、通夜や告別式の後には霊柩車をということになります。
寝台車の装備は、寝たまま運べるようにストレッチャーや担架を固定するものが備えつけられ、(棺の搬送も可能な寝台車もあります)、霊柩車の装備は、棺を固定するものが備わっています。
見た目の違いは、宮型霊柩車であればひと目で霊柩車だと分かりますが、シンプルな見た目の車、特にバン型の場合、一見しただけでは霊柩車だと見分けがつかないものが多いです。
他にはリムジンなどの洋型や大人数の参列者を一緒に乗せられるバス型があります。
近年の霊柩車事情
霊柩車のうち、特に一目で霊柩車だと分かる仕様の宮型霊柩車を道端で見かけなくなってきています。
きらびやかな金細工を施された宮型霊柩車を見かければ、直ぐに棺を乗せている車だと分かり、容易に死を連想できるので、火葬場近隣の住民の方は、霊柩車を見かける度に死を連想しなくてはならず、苦情も増えており、とりわけ目立つ宮型霊柩車の使用を禁じる自治体も少なくないのです。
そのような規制もあって宮型霊柩車の減少につながっています。
また以前は、葬儀は自宅を会場にして、親族や近隣住民の方で協力して行うのが基本で、葬儀が終われば自宅から霊柩車で火葬場まで霊柩車で搬送される流れでした。
しかし近年では、葬儀が葬儀社主導のもと葬儀場で行われる事が一般的となっています。
中でも昨今、火葬場併設の斎場もあり、こちらは敷地内に火葬場が併設されているため、棺の搬送に霊柩車を必要としません。
斎場としての利便性が追求されているとともに、少子高齢化社会では、地域住民の付き合い方も様変わりし、葬儀規模が縮小されるのに伴い、豪華な宮型霊柩車を使用することが仰々しくみえてしまい、霊柩車の出番も減っているという現状です。
また、現在の霊柩車は、一般車と見た目が変わらない様なバンタイプの霊柩車が人気です。
そのため霊柩車を見かけなくなったように感じられるという事もあるでしょう。
霊柩車の手配
葬儀社が霊柩車の運行業者と提携していることが多いので、葬儀社を介して手配するのが一般的になっています。
打ち合わせの際に、いくつかのタイプの霊柩車をカタログなどで見て、利用料金も考慮して選んでいきます。
提示されているプラン料金に霊柩車費用が含まれているケースがほとんどです。
追加料金が発生するのは、例えば依頼主の都合で出発時間が遅延した場合や、深夜早朝の時間指定をする場合、有料道路を利用する場合などに発生します。
まとめ
時代とともに変わる霊柩車ですが、火葬場まで故人を送るという役割に変わりはないのです。
よくご家族と相談し、希望を葬儀社へお伝えするようにされてはいかがでしょう。