終活の一環としてエンディングノートを書いておくこと、遺言状の作成や、葬儀場を見つけるなどと準備しているとういう方が増えていますが、お墓を生前に建てる方も6割以上になっており、年々増加している傾向にあります。
今回は、生前に建てるお墓=生前墓について、選ぶ際のポイントや注意点、メリットなどをご紹介したいと思います。
生前墓とは?
自分が入るお墓を自分自身で建てたり、生きている間に家族や子供と相談し納得のいくお墓を購入することをいいます。
生前墓を建てることは、古くは中国が起源とされ、子孫繁栄や不老長寿に通じるとされ、信じられていますが、日本では、聖徳太子が初めて生前墓を建立したといわれており、古くから存在していて、現在でも家庭円満や長寿などと、縁起の良い物とされています。
お墓を準備するメリットは?
- 自分の好きなお墓を立てられる
死後に自分が入る場所を、生きているうちに自ら選び、お墓の石材やデザインなど、自分の納得のいく形に選べるのは大きなメリットと言えるでしょう。
石材だけでも、色や手触り、耐久性の違いがありますし、デザインも和風や洋風にするとか、装飾をして個性的にする、自身の生き様を表すような仕事や趣味を生かした形にするなど、自分の意思で色々と決められます。
墓地の場所は、親族が供養や管理し易い場所や、気に入った土地など、自分の考えに合わせて選択する事ができるでしょう。
- 遺族への配慮、負担軽減
身内が亡くなった途端に、遺族は悲しみの気持ちを抱えながらも、気持ちを整理する間もなく法要の準備等に追われ、葬儀が終われば遺産相続や遺品整理、墓選びなどすべき事や手続きも多く疲弊します。
そんな時に、生前墓を準備していたらどうでしょうか。
遺族はお墓の準備に悩まされる事も無く、親族の意見を取りまとめる必要もなく済みますから、心の負担はかなり軽減されるはずです。
それに、故人の希望が叶ったお墓は、遺族としては故人の気持ちを尊重できたという満足感も得られることでしょう。
- 相続税対策の1つに
故人の財産を相続すると、相続人には相続税が課税されますが、お墓は非課税財産にあたりますので、相続税の課税対象から外れ、相続税は課されません。
さらに、お墓は土地を購入するわけではなく、墓地の使用権利を購入するものなので、不動産所得税は納付不要となります。
一方、相続した現金のうち、お墓を建てる分として準備していた費用も、相続した財産分は全て相続税の課税対象になってしまうため、相続税がかかります。
節税の面から見ても、生前墓を建てておくと良いでしょう。
生前墓を購入する際の注意点
注意①
メリットでお話した様に、生前墓は相続税の負担を軽減できますが、生前墓をローンで購入した際、完済する前に亡くなった場合には、ローン残額は債務控除の対象から外れてしまいますので、ローンの保証人や家族に支払いをして貰う必要がありますので、ご注意下さい。
注意②
お墓を準備した場合に、墓地を入手した時点から「墓地管理料」という墓地の維持費が発生し、支払わなくてはなりません。
また、生前から墓地の購入が可能な霊園が増えていますが、公営の霊園等では、墓地の入手条件で、例えば故人の所持ではなく、“ご遺骨の所持”としている所もありますので、事前に資料を取り寄せて調べることをお勧めします。
ただし、民営霊園や寺院のほとんどでは、墓地管理料をきちんと払えば生前に墓地の入手が可能で、墓地管理料の相場は、1,000円~1万5,000円となっています。
先祖代々のお墓に入らず、新しく建てる場合の生前墓についてお話してみました。
生前墓は終活の一環として注目を浴びており、需要も拡大しています、遺族の負担を軽減することや、相続税対策、自分の好みのお墓に出来るというメリットがあります。
注意点も十分加味して、遺族のことにも配慮したお墓選びを心がけましょう。