「喪中」は、誰もが一度は聞いたことがある言葉であり、そのような慣習があるのをご存じの方は多いと思いますが、では実際にその意味や具体的にはどのようなことに気を付けて、何をすべきかまで把握している方は少ないのではないでしょうか。
今回は喪中についてお話します、知識を深めておきましょう。
喪中の意味、忌中と喪中の違いとは
喪中とは、故人の死を悼む期間をいいます、死者を弔う姿勢を重んじて一定期間、贅沢や祝いごとなどは避けて身を慎みます。
本来、喪中は「忌」と「服」の2つの期間から構成される言葉ですが、身を慎む期間の違いで次のように言葉で分けています。
忌中‥故人が他界してから四十九日法要を終えるまでがその範囲
喪中‥49日の忌中を含む1年間です。
例えば、喪中を13ヶ月として、今年の12月末日に近親者が亡くなられた場合、亡くなった日を1日目として49日間を忌中とし、12月を1ヶ月と数えた13ヶ月が喪中、つまり来年の12月に喪が明けることになります。
以前は、厳しいしきたりのもと、忌中は「死の穢れ(けがれ)」を外界に広めないよう、自宅にこもって酒肉を口にしないで過ごすべきだとされて来ましたが、現在では時代の変化とともにその様な考え方は無くなりつつありますが、守るべきマナーや慣習が残っています。
穢れは、「気枯れ」すなわち、親族の気力を失ってしまった心情を表すとも言われ、忌中という期間は、遺族の心を癒し、社会復帰に向けて気持ちを切り替えるためにも大切な時間でもあるのです。
また、喪中は故人を偲ぶことで死と向き合い、気持ちを整理するために設けられており、偲ぶことは、もう現世で会えなくなった人との大切な思い出を懐かしみ、存在を忘れないようにしましょう、ということなのです。
喪に服すべき人の範囲とは
故人との関係性で変わりますが、基本的には自身や配偶者からみて2親等内の親族が死去した場合に喪中としています。
2親等以内の範囲‥父母、兄弟、子ども、孫、祖父母、兄弟の配偶者
※配偶者については0親等となります。
尚、子の配偶者は親等には該当しません、しかし、あくまで目安とされており、2親等に含まれない範囲であっても、生前懇意にしてきた関係や、同居していたなどと、親等では区切れない関係性もありますので、喪に服したい気持ちを軸にして決めても問題はないのです。
喪中に控えた方が良いこと
派手な振る舞いを避けるよう、基本的には神事・祝いごとや贅沢を控えるのが習わしです。
例えば、お正月では初詣や飾り付け、おせちなどの正月料理を作らないようにしていますが、それは神道の祝いごとに因んだことが多いからです。
その他にも、神社へ初詣にいくことは、その神社へ穢れを運ぶことに繋がるのでタブーとされていますが、忌中が開けていれば問題ないでしょう。
結婚・結婚式への列席も控えるべきとされていますが、先方が喪中であることを気にしていない場合に、自信の気持ちも出席の希望が強いならば検討して構わないとされます。
喪中にすべきこと、しても良いこと
四十九日法要を執り行い、遺族としても忌明けを迎え、気持ち新たに服喪期間を迎えましょう。
喪中の葉書を送りましょう、その場合は、年賀状を用意する11月中旬か遅くとも12月初旬には発送すると良いでしょう。
喪中は様々な行動を慎むべきとされていますが、基本的に祝うことや、楽しむこと目的としない行事ならば、参加しても問題はないとされています。
節分などは厄払いの儀式であり、お正月の様な祝い事ではありませんし、仏教の教えとも関係無いので、そういった行事に参加することは問題ないのです。
また、喪中の期間中の寺院への参拝は全く問題ありません。
仏教は神道と違い、死を穢れとしていないため、喪中に寺院を参拝することが許されています。
宗教・宗派で異なる考え方
宗教や周波によっても「死」への捉え方は違います、浄土真宗では、故人は死後すぐに仏様になられるため、死の穢れはなく、魂がこの世をさまようこともないと考えられているため、忌中・喪中ということ自体が存在していないのです。
また、キリスト教は死を神様の元へ行ける喜ばしいものと捉えられているので、忌中などの概念が存在しません。
今回は忌中・喪中について詳しく解説いたしました、時代の変化や風習、宗教によっても大きく解釈が異なるものですが、知識を深めておくことで、ルールやマナーを守ることができるのではないでしょうか。