自分らしい人生の締めくくりに活用
これまで歩んで来た人生を振り返り、自分が受けたい介護や最後に過ごしたい場所、さらに葬儀やお墓の希望などを記す「エンディングノート」。
「終活」を行いたいという人が増えている中、いま、エンディングノートが注目されています。
終活の希望が増えているのは、家族の形が昔に比べて随分変わって来たことが背景にあるようです。
内閣府が出している「平成29年版高齢社会白書」には、昭和の時代には祖父母と両親、孫が一緒に暮らす三世代世帯が一般的だったのが、平成27年には夫婦のみの世帯が3割ほどとなり、単独世帯と合わせると半数以上になったことが報告されています。
子供との同居も減っており、65歳以上の高齢者が子供と同居している割合は、昭和55年には7割だったのが、平成27年には約4割に減少。子供と同居していない高齢者は、6割近くになろうとしています。
つまり、人々の暮らしや家族スタイルの変化に伴い、子供とは同居せず、自分たちの生活スタイルを大切にする高齢者が増えているのです。
そして、人生の最後も自分らしくと考える人が増えたことで、自分の人生を締めくくる終活が注目を集めているのかもしれません。
エンディングノートは、終活を行うための覚書として、とても便利なツールです。
エンディングノートには何を書くのか
自分の最後の迎え方を書くものと思われることが多いエンディングノートですが、自分のことをまとめた自分史のようなものと捉えた方がふさわしいかもしれません。
自分が生まれた場所や幼い頃の思い出、学生時代の友人、結婚した頃のことなど。年代を追って、これまでの人生を思い起こしながら、自分の人生の「年表」を作成します。
できれば、とても嬉しかったこと、辛かったことなど、自分の人生の中で特に思い出に残っているエピソードについても書いておくといいでしょう。書いているうちに、「自分の人生の総括」ができ、これから生きていくための力となるからです。
文章を書くのが苦手だという場合は、アルバムの写真から特に思い出深いものを選んで、簡単な覚え書(撮影した場所や日時、誰と一緒に写っているか)と一緒に整理し直すのもおすすめです。
過去についての記載が終わったら、現在の自分についての「覚え書」です。
今持っている資産や、自分が入っている保険、かかりつけの病院、付き合いのある人などについて記入していきます。その際、預貯金(銀行口座)や不動産、クレジットカード、借入金などについても書き出しておきましょう。
そして、「未来」について。
これからやりたいこと、行きたい場所、会っておきたい人などを書き出します。それと同時に、自分が受けたい医療や介護、葬儀や相続、墓についての希望はぜひ書いておきましょう。
脳梗塞で倒れるなど、自分の意思が伝えられなくなった時に、自分の望む医療や介護を受けるためにも、エンディングノートが役に立ってくれます。
葬儀の事前相談などをしていた場合には、エンディングノートにその旨を書いておきましょう。
エンディングノートは残された家族への贈り物
エンディングノートに何を書くかは基本的に自由なのですが、ぜひおすすめしたいのが、家族へ贈る言葉を記載することです。
大切にしてきた家族との思い出、最後に伝えておきたいこと、感謝の言葉など、家族への最後の手紙のつもりで自らの思いを綴ることは、自分の人生の締めくくりとしても重要なことです。
そして、自分の死後、残された家族がエンディングノートを読むことで、喪失の悲しみを癒すことができるでしょう。
実務的な面としては、預貯金や株、不動産などの財産や保険について、まとめて記載されているエンディングノートがあると、家族の手間を大きく省くことができ、相続時の家族のトラブルを防ぐことにもつながります。
葬儀の希望を書いておけば、いざという時に家族が悩まず、最後の旅立ちのお手伝いができるでしょう。
エンディングノートは書店で購入することもできますし、インターネット上で無料でエンディングノートをダウンロードできるサイトもあります。
機会があれば、ぜひ一度のぞいてみてはどうでしょうか。