再び視線が向けられている自宅葬
自宅葬とはここ半世紀ほどは、あまり聞かない葬儀プランでしたが、昔は結構自宅葬をする家がありました。
葬儀社が近年目覚ましい発展を遂げ、公営の斎場のみならず、新しくて綺麗な民営の斎場が増加するのに伴い、葬儀のプランも次第に豪華になり、綺麗な斎場で大勢の会葬者に見送られて火葬場に向かうというスタイルが定着しました。
一時は、絢爛豪華な金をふんだんにあしらった大きなリムジンの霊柩車なども話題になりました。
そうした変遷を経て、今また自宅葬にまた視線が向けられています。少子高齢化社会を迎え、日々亡くなる人も増えつつあります。
そうした中で需要に応えるべく新しい斎場は次々と建設されていますが、火葬場の供給は追いついていません。
受け入れてくれる火葬場が確保できなければ斎場に何日も遺体を安置できないため、近年再び、自宅安置から自宅葬を行い火葬場へ送り出す自宅葬に視線が向けられるようになりました。
葬儀社が設営してくれる
葬儀会場を利用する場合と比べて、普段生活している自宅を利用するのですから、会葬者の方に来て頂きやすいように、生活の物でごちゃごちゃしている家の中をすっきりと見せるために幕を張ったり、ご遺体の安置場所を作ったり、玄関先に提灯を掲げたり、しなければなりません。常に掃除が行き届いてすっきりとしている葬儀会場を利用する場合は、そのような手間は発生しませんが、一般のご自宅では、会葬者を迎えられる準備が必要となります。葬儀社にとっては決して楽な仕事ではありませんが、ご遺族の方にとっては、移動の負担や時間に追われるストレス等が大幅に軽減されます。特に高齢のご遺族等では、普段介護ベッドに横たわっている方も多く、例え一日だけでも外出して斎場で過ごすのは、大変体に負担がかかります。葬儀の後に体調を崩されては大変ですから、斎場で行う場合は葬儀にやむなく欠席されたりする場合も見受けられます。ご自宅安置の自宅葬なら、高齢のおじいちゃんの葬儀に高齢のおばあちゃんがゆっくりとお別れをして見送ることができます。こうした希望もあって近年自宅葬を選択する遺族もあります。自宅葬というと、遺族の準備等にかかる人手や負担が大変ではないかと思いがちですが、そんなことはありません。葬儀ができるように葬儀社のスタッフが家の外と中をすばやく設営してくれます。遺体の安置からミニ祭壇の設置、仏具の用意等必要なものは全て揃えてくれますし、自宅の外に立って、会葬者の案内もしてくれたりします。お斎(通夜振る舞い)に関しても、デリバリーで調達してくれたりしますので、設営や準備に関しては遺族は何も心配する必要はないのです。
自宅葬を選択する意味
自宅葬を選択することで、普段介護ベッドに横たわって過ごす時間の多い高齢者のご遺族にも故人とのお別れがゆっくりとできるメリットをお伝えしました。
自宅葬であれば、ご遺体の安置してある葬儀で使う部屋から、普段ベッドの置いてある部屋へさがって休むことも可能となります。
移動も同じ家の中なのであまり負担はないでしょう。
こういった高齢の遺族に優しい葬儀スタイルとして自宅葬を選択する意味は十分あるでしょう。
また、故人の側に立って考えてみると、長い間、病院で闘病していて自宅に長らく帰っていないという場合、一度自宅に帰りたかったという気持ちを抱いて亡くなる場合もあります。
そうした故人の気持ちをふまえて最後は住み慣れた自宅から送り出してあげることが供養になるのではないかという考えもあり、自宅葬を選択する遺族もいるのです。
住み慣れた自宅から送り出す自宅葬ですが、葬儀社のスタッフが設営から必要な物の準備、僧侶や人手の手配等、何不自由なく葬儀ができるように段取りしてくれますので、遺族は安心して任せて良いでしょう。
会場が自宅になったというだけで、ご近所様や親戚に手伝いを頼まなければならないという負担はありません。
近くに斎場が無い場合や、火葬場まで遠い、火葬場が混んでいていつ火葬できるのか予約状況が不安だという場合にも、自宅安置で自宅葬なら、ご遺体の行き場を失う心配もありません。
葬儀は住んでいる地域の実情やご遺族の年齢や体調、故人の思い等を鑑みて最善の選択をすることが重要です。
自宅葬がこうして最善の選択肢になることも十分あり得るのです。