火葬許可書について

大切な家族を亡くした深い悲しみの中にあっても、遺族は通夜・告別式の手続きの他、故人に関する事務的手続きを行う必要があります。そうした手続きには様々な書類が必要となりますが「火葬許可書」は故人の火葬、埋葬になくてはならない重要な書類となります。火葬許可書についてみていきましょう。

「火葬許可書」の発行の大まかな流れについて

「火葬許可書」とは亡くなった人のご遺体を火葬もしくは埋葬(土葬)する際に必要な書類で、市区町村の役所で発行されます。なお、家族、親族が死亡した場合、死亡届は死亡を知った日から7日以内(海外で死亡した場合は3か月以内)に役所に提出する必要があります。

✓医師が死亡を確認後、死亡診断書を発行

✓医師から渡される死亡診断書と一通になっている死亡届に必要事項を記入、押印する

✓死亡診断書、死亡届を同時に市区町村の役所(戸籍係)に提出する

 (提出できるのは死亡地、死亡者の本籍地、届出人の住所地の役所に限られます)

✓火葬許可書を受け取る

というのが火葬許可書を受け取るまでの大まかな流れとなりますが、この手続きは通夜・葬儀を依頼した葬儀社が代行することが通例となっています。公営葬祭サービスを利用する場合など、家族が自ら届け出て、火葬許可書を受け取る必要があります。

 

火葬許可書を火葬場の管理事務所へ提出することでご遺体の火葬が許可されます。

火葬後は、火葬場の管理者が火葬を証明する証明印を押印した火葬許可書がご遺族へ返却されます。この返却された許可書は「埋葬許可書」として遺骨を墓所に埋葬する際に必要となります。

 

「埋葬許可書」とは

火葬執行証明済の火葬許可証は一般的には「埋葬許可書」と呼ばれ、ご遺骨を墓所に納骨する際に墓地などの管理者に手渡す必要があります。納骨は四十九日の忌明け法や一回忌、三回忌といった年忌法要のタイミングで行うご家庭が多い一方、墓所の準備やご家族のご都合などによって何年も先になるということもありご事情によって様々です。

 

納骨までに「埋葬許可書」の紛失がないよう、埋葬許可書を骨壺とともに桐の箱に収めて遺族に渡すという火葬場も多く見受けられます。納骨時以外は必要のある書類ではないので、火葬場で埋葬許可書を手渡しされた場合でも、骨壺と共に桐の箱に入れて保管することをお勧めします。納骨をせずに手元供養をするケースも増えていますが、何年か先にでも納骨を希望することがあれば埋葬許可書が必要になるので必ず保管しておきましょう。

 

故郷にある先祖代々のお墓と自宅近くに購入したお墓の2か所に納骨するなどといったように、ご遺骨を分けて埋葬する「分骨」を希望している場合は、墓所ごとに埋葬許可書が必要となります。先のケースでは2通の埋葬許可書が必要です。火葬のタイミングで分骨が決まっている場合にはその旨を火葬場に申し出ます。火葬場によっては「分骨証明書」という書式で発行されることがあります。

 

「埋葬許可書」を紛失してしまった場合

万が一「埋葬許可書」を紛失してしまった場合は、火葬許可書を発行した市区町村の役所に申し出る必要があります。市区町村の役所では火葬許可書発行から5年以内は火葬許可申請書を保管しているので、本人確認ができる確認書類と印鑑があれば再発行の手続きをとることが可能です。埋葬許可証再発行の申請は①死亡届を役所に届け出た人②故人の直系親族又は祭祀継承者に限定されています。

 

火葬許可書の発行から5年以上が経過している場合には斎場が発行する火葬証明書を用意する必要が出てくるなど再発行が困難になるケースもあります。納骨が何年も先になることが予想される場合は特に埋葬許可書は慎重に管理する必要があります。

 

大切な人とのお別れに―棺に入れてもいい物とは

故人が大切にしていたもの、故人との思い出か詰まった品
永遠の旅立ちをする故人を想えば思うほど、棺の中を愛用品でいっぱいにしてあげたいという気持ちになるでしょう。しかしどんなものでも入れられるというわけではなく、中には法律で禁止されている物もあります。火葬時に棺に入れてもいい物、入れてはいけない物をご紹介しましょう。

名古屋市の場合

故人と共に棺に納めるものは「副葬品」と呼ばれます。

名古屋市では、火葬時間の延長、周辺環境への悪影響、遺体の損傷など理由から火葬してはいけない副葬品を定め、2か所の斎場では副葬品等チェックシートの提出を求めて管理しています。以下は名古屋市が定めた棺に入れることができない副葬品です。

 

×スプレー缶、乾電池、缶詰製品類 

火葬中に破裂し、ご遺体や火葬炉内部が損傷

×ガラス製品、プラスチック製品、金属類

高温により溶解すると拾骨時の支障になる

×プラスチック、ゴム製品等(同素材を用いた棺を含む。)
溶解すると拾骨に支障となり、燃焼により発生する排出ガスが周辺環境を悪化

×果物類、アルコール類、ジュース類

火葬中、異臭・煙を発生させ、拾骨の際異臭を発する

× 大量の書籍・紙類、寝具(毛布・綿類)等

燃えにくく大量の灰等が発生、拾骨時の支障となる

×生花吸収フォーム等

難燃性のため火葬に時間がかかり、拾骨時の支障となる

×遺体保冷用のドライアイス等

火葬中に不完全燃焼を起こし、機器故障の原因となる

 

入れてしまいがちな「入れてはいけない物」

×眼鏡・入れ歯
「眼鏡がなくては遠くが見えないし、入れ歯がなければ物が食べられない」と、まず最

初に棺に納めようとされる方が多いものです。しかし金属、ガラスなどで作られている

眼鏡は燃えないため棺に入れることはできません。入れ歯や結婚指輪、大切に使っていた腕時計もなども同様です。 火葬後に御遺骨と一緒に骨壷へ納めることができるか、火葬場にてご相談ください。

 

×現金

現金を燃やすことは違法とされています。また、硬貨は燃えません。古くから「三途の川の渡し賃として必要」などという言い伝えから棺に現金を入れる方が少なくありません。現金を模した紙製の6文銭などが葬儀社によって用意されているケースもあります。

 

×趣味の物

分厚い愛読書(ハードカバーの分厚い本は燃えにくいため避けた方がいいでしょう)、アルバム、ゴルフクラブ、テニスラケット、釣竿、CDやDVDも入れることはできませんが、ゴルフクラブや釣竿など愛用する人が多い「趣味の道具」は、副葬品用の木製「ゴルフクラブ」や「釣竿」が販売されています。

 

斎場は周辺の環境への配慮などからもダイオキシン規制法、環境保護法、墓地埋葬法などの条例で厳しく規制されています。副葬品として棺に入れることができるか判断ができない場合は火葬場の担当者に必ず相談しましょう。また、故人の体にペースメーカーが入っている場合も、火葬中に破裂する危険性があるため必ず事前に報告する必要があります。

 

副葬品として棺に「入れてもいい物」

✓お花

菊だけでなく、故人が好きだった花を入れることができます

✓衣類

生前故人が気に入ってよく着ていた衣類などは、数枚を選びましょう

✓食べ物

故人の好物の小さなお菓子などは問題ありません。果物も切り分けて少量であれば入れられますが、スイカやメロンを丸ごと入れることは燃焼の妨げになるのでやめましょう。

✓酒・たばこ

紙パックの酒を入れることは可能です。タバコを入れることは問題ありません。

✓手紙・寄せ書き

故人に向けたお手紙や寄せ書きを副葬品とされるケースもあります。

✓人形・ぬいぐるみ

故人の思い入れの強い人形やぬいぐるみなどは、ご遺族の悲しみを深くすることもあります。小さい物やプラスチック製でなければ副葬品として納める方がいい場合もあります。