遺言書は自分の意志を書き記しておくために大切な文書となりますが、内容の自由度とは相反して法的に効力があるかどうかは明確なラインがあります。
例えば、遺言書に婚姻に関することを書いても、それは法的には無効になってしまうということです。
遺言事項には大きく分けて3つの事項があります
身分に関する遺言
婚外子(婚姻関係にはない相手との間に生まれた子)の認知、生まれる前の胎児の認知に関する遺言は法定に効力があります。
推定相続人に親権者が不在の未成年がいる場合は、その未成年者の後見人を遺言にて指定することができます。さらにその後見人の監督者となる後見監督人の指定をすることもできます。
死後、「配偶者との婚姻関係を解消する」、「現在婚姻関係にない相手との婚姻を望む」、また「養子縁組を結ぶ」「養子縁組を解消する」といった婚姻と養子縁組に関する身分の遺言は法的には効力の無いものとされます。
財産の処分に関する遺言
財産を相続人以外の人に贈与する遺言は法的にも効力があります。
相続権を持たない人や法人にも遺贈することは可能で、財産を受ける側の立場のことを「受遺者」と呼びます。
遺贈には特定の財産を贈与する「特定遺贈」と、財産の全てを割合で換算して贈与する「包括贈与」があり、包括贈与に借金が含まれている場合は、そのマイナスの財産も受け継ぐことになります。
全ての遺贈を放棄することも可能です。
財産を特定の法人や団体などに寄付したり、その財産で財団法人を設立したりするなどの寄付を希望する遺言は法的に効力があります。
信託の設定について
財産を指定した信託銀行に預けてその資産の管理・運用を希望する遺言は法的に効力があります。
相続に関する遺言
相続は指定をしない限り法的に定められた法則に従い分割されますが、遺言により法定相続分とは異なる相続人の相続に関する配分を指定することができます。
故人本人ではない第三者を相続分の指定を行う人として委託することもできます。
相続人の遺産分割の方法まで指定することができます。
第三者にその指定を委託することもできます。
相続を開始するところから最長で5年を超えない期間は財産の分割を禁止することができます。
相続人に未成年者がいる場合、成人してから遺産協議にする、それまでは学業に専念するなど生活に差し障りがないように一定の年数の期間は分割を禁止するというケースがこれにあたります。
また相続人の一人が故人の家に住み続けることが予想される場合は、その自宅を指定して分割を禁止するというケースもあります。
相続後の相続人同士の間にある担保責任を軽減することも加重することもできます。
複数の相続人がいる場合、その共同相続人の間には利益と損害が平等になるようにという公平性が保たれています。
この共同相続人同士のトラブルが起きないように、遺言によって責任の重さを指定することができるのです。
これは土地に関する場合がほとんどで、一方の土地財産に何らかの問題があった場合に誰がどう補てんをするかということでトラブルが多い側面があるからです。
生前贈与や遺贈などにより特別に受益があった場合、相続分から差し引かれることのないように免除することを指示することができます。
相続人となる予定の推定相続人が遺言者に対して虐待や侮辱を与え、精神的または肉体的被害を被っていることなどを理由として推定相続人の相続権を奪うことができます。
遺言でこれを行う場合は、遺言執行者が家庭裁判所に申し立てをすることでこの権利を遂行することになります。
遺言内容を確実に実行させるために遺言執行者を指定したり、信用のできる第三者に指定を委託したりすることができます。
先祖の祭祀を主宰したり、お墓や仏壇などの管理を受け継ぐ人を指定したりすることができます。
減殺請求を受けた際の減殺を行う財産の順序を指定することができます。
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