弔辞を孫が依頼された場合

「弔辞」は、一般的に故人と特に親しかった人や関わりの深い方などに、ご遺族が依頼します。近年は、家族葬が増え、葬儀の際に「弔辞」を孫が読み上げることが多くなっています。ここでは、「弔辞」を孫が依頼された場合の内容などについて詳しくご紹介します。

「弔辞」を頼まれた場合

ご遺族が「この人に読んでほしい」と考えて、選んでいるため、依頼されたらできるだけ引き受けましょう。

孫が「弔辞」を読むときの注意点

家族葬で、知っている方ばかりの場合でも、大勢の参列者の前で、読むことになるため、緊張することが予想されます。

また、祖父母への悲しみで、途中で泣き出してしまう可能性もありますので、少しでも落ち着いて読むことができるように、事前に練習することをおすすめします。いつもよりゆっくり話すように伝え、練習中に発音しにくい言葉があれば、他の言葉にかえておきましょう。

また、小さいお子さんが「弔辞」を読む際には、いつもと違う雰囲気で、不安になることも予想されます。お子さんが少しでも安心できるように、親がそばに付き添っても問題ありません。

「弔辞」の内容

故人への呼びかけ、思い出、結びの言葉の3つの要素を盛り込んで、簡潔にまとめましょう。

故人の呼び方は、普段の呼び方のままでも大丈夫です。

思い出は、日常のささいな出来事で構いません。ただ、故人のマイナス面を強調する話は避け、「嬉しかったこと」、「素敵だと感じたこと」など、故人をたたえる内容にしましょう。

別れの言葉は「ご冥福をお祈りします」、「今まで本当にありがとう」など、自分の気持ちが伝わる一言を添えるのがおすすめです。

内容についての注意点

幼いお子さんが「弔辞」を読む場合には、本人に祖父母への思い出などを聞いたうえで、親が文章にまとめるようにしましょう。

本人が弔辞を書く場合は、孫の立場で、祖父母と生前、話をしていたように、堅苦しい感じではなく、故人との思い出を交えながら、感謝の気持ちを書くように伝えましょう。

また、ご遺族や参列者の方々が、不快に思う言葉は避ける必要があります。忌み言葉や重ね言葉については、適切な言葉に言い換えることが必要です。「辛い」「悲しい」といった表現も、ご遺族がより悲しい思いをしてしまうため避けるように伝えます。

更に宗教的理由から避ける言葉もあります。例えば、仏教で使われる「冥福」や「成仏」といった言葉は、神式やキリスト教式の葬式では使用できません。逆に、「天国」という言葉は、仏教式の葬式では使用できません。

「弔辞」を書くときの注意点

代筆する場合は、お子さんがわかりやすいように、大きな字で、できるだけ簡単な言葉で書いてあげると読みやすいでしょう。

「弔辞」は、巻紙や奉書紙に毛筆で書くのが正式ですが、幼いお子さんや学生の場合、書けなかったり、読みづらかったりするため、白い便箋や市販の弔辞用の用紙に、ペンで書いても構いません。

読み終えた「弔辞」は、最終的にご遺族に渡るため、まずは下書きをして、誤字や脱字がないように気を付けながら、丁寧に書くように伝えましょう。

大切な祖父母へ、心のこもった言葉でお別れができるといいですね。

弔辞のマナーについて

親しかった方が亡くなってしまったとき、「弔辞」をご遺族の方から依頼される場合があります。「弔辞」を依頼された場合、注意することなどが色々とあるため、ここでは「弔辞のマナー」について、まとめました。

「弔辞」とは?

故人をしのび、別れを惜しむ気持ちをささげる言葉です。通夜式や葬儀・告別式の式中に、参列者の前に進み出て、祭壇に向かって立ち、用意した文書を両手で持ちながら読み上げるスタイルが一般的です。

「弔辞」を依頼される方は?

一般的には、ご遺族が故人との関係を考慮して、1~3人の方を人選します。ご遺族に依頼されたら、特別な理由がないかぎり、二つ返事で引き受けるのがマナーです。

具体的には、親しい友人、恩師・先輩・上司の方となります。また、近年では、孫が依頼されるケースも多くなっています。

内容は?

内容が重複しないよう、他に依頼された方の関係性などをご遺族の方におききし、把握しておくとスムーズです。

一般的には、3~4分程度の長さが目安です。読む速度によりますが、1000文字程度(原稿用紙2、3枚)を準備するとよいでしょう。

美辞麗句を並べたり、形式ばった書き方ではなく、素直に故人への思いを綴りましょう。また、ご遺族への慰めと励ましの言葉を添えることも忘れないようにしましょう。

一般的な構成は?

①故人への呼びかけと訃報を聞いたときの驚き

「○○さん」のようにフルネームで呼びかけるのが一般的です。上司や目上の方の場合は、肩書きなどをつけます。続けて、故人の死の驚きや悲しみを述べます。

②故人をしのぶエピソード

まず、故人と自分との関係を入れます。そして、思い出、故人の経歴、人柄、功績をたたえるエピソード、感謝の気持ちなどを素直に綴ります。

③ご遺族への言葉

故人の死を惜しむ気持ちとともに、遺族や近親者へのお悔みと励ましの言葉を述べます。

④結びの言葉

お別れの言葉で締めくくります。

注意する言葉

◆忌み言葉:不幸が重なることを連想させる言葉や、不吉なことを連想させる言葉は使ってはいけません。

・繰り返す言葉

「重ねる」「再三」「再々」「くれぐれも」「たびたび」「重々」「重ね重ね」「また」「いよいよ」「ますます」「返す返す」「次々」

・不吉な言葉

「切る」「離れる」「とんでもない」「浮かばれない」「九」「四」(苦しい、死ぬなどを連想させるため)

◆直接的な言葉:生々しい表現は避けて、言い換えましょう。

「死んだ」⇒「逝去(せいきょ)」、「永眠」

弔辞を書く際の注意点は?

弔辞は、読んだあとにご遺族にお渡しするため、丁寧に心をこめて書きましょう。基本は、自分自身の手で書きますが、難しい場合は達筆な方に代筆してもらうことも可能です。

正式な弔辞は、巻紙か奉書紙に、薄墨と毛筆を使って楷書で書いて、奉書紙で上包みします。最近では、市販の弔辞用紙、白い便せんや封筒を使うこともあります。

「弔辞」をお願いされたら、失礼のないよう、心をこめて故人に語りかけて下さい。