遺影(エターナルフォト)とは、故人の生前の姿を描いた肖像画や写真のことです。通夜や葬儀の場に飾られた遺影は参列者の記憶に強く残り、それ以降故人を偲ぶよすがとなることでしょう。遺影は宗教の違いに関わらず、故人に思いを寄せるため葬儀の場に準備される写真です。これまでの人生におけるどんな写真よりも大切な1枚となる遺影ですが葬儀で使われた大きなサイズの遺影の扱い方には戸惑われる方、お困りの方も少なくありません。遺影の飾り方、飾っておく期間などご家庭での遺影の扱い方についてご紹介いたします。
葬儀後の遺影の扱い方について
葬儀の後、ご自宅に後飾り祭壇(中陰壇ちゅういんだん)と呼ばれる2~3段の白木で作った祭壇を設けるのが一般的です。3段の場合、最上段には遺影と骨壺、2段目には白木位牌、最下段には一輪挿し、香炉、おりん、ろうそく台、線香立てなどを飾ります。お供え物は下段に並べられます。葬儀後の弔問の際には、後飾り祭壇にお参りして頂き、祭壇にある遺影をご覧いただくことになります。その遺影も含めて、後飾り祭壇は故人の魂がこの世にあるとされる四十九日まで設けられます。故人が安らかな時を過ごすことができるように、四十九日を迎えるまでは毎日ろうそくを灯して線香をたき、炊き立てのご飯や水とともに生前に個人が好んでいたものをお供えします。
四十九日が過ぎ「忌明け」となるとこの祭壇は不要となり、白木位牌は本位牌(塗位牌)として仏壇におさめます。後飾り祭壇に飾っていた遺影は床の間のある和室や仏間に先祖代々の遺影ともに飾り直すことが一般的とされていましたが、葬儀に使われる大きなサイズの遺影では飾るスペースがとれない、仏間や和室がないというご家庭もあります。最近は葬儀の際に用いた大きな写真をL版・2L版などの小さなサイズに作り直し、写真たてを利用して仏壇や仏壇近くに飾るというケースが多くなっています。遺影には「必ず飾らなければならない」「ここに飾らなければならない」といった宗教的な取り決めは特にありませんので、遺影の取扱いに関しては住宅事情などそれぞれの事情に合わせ、ご家庭の皆さんが故人との絆を感じられる場所、形式で飾りましょう。遺影をスマートフォンやパソコンのフォルダーに入れるという方もあります。同様に、不要になった遺影の処分についての取決めもありません。故人の冥福を祈りながらご自身で焼却される方、葬儀社やお寺へ供養をお願いするというご家庭もあります。
遺影の準備について
「遺影」は葬儀後も長く飾り、大切な故人を想う1枚となりますが、
・日頃から写真を撮っていなかった
・大勢での集合写真しかない
・故人が偲ばれるような写真がない
など、いざ必要になった時に、「最高の1枚」を見つけることは簡単ではありません。
「遺影の準備など縁起でもない」というお考えの方もいらっしゃいますが、自分らしい納得のいく遺影を使って欲しいと、人生の締めくくりに最高の1枚をご準備される方も多くなっています。
遺影には宗教的な取り決めなどがありません。
言い換えると、遺影は笑顔の写真も、好みの衣装を着けた写真も、横顔も、絵画でもイラストでも、自分らしい、故人らしいと思えるのであればどのような形でも「遺影」となるのです。しかし、
✓通夜、葬儀の際に遺影をご覧になる参列者にとって、故人へ想いを寄せられる遺影であること
✓葬儀後、遺影を飾るご家族にとって、故人と心を交わすことができる遺影であること
が大切です。画像編集が可能になったために、
・とてもいい表情なのに、背景がよくない
・お気に入りの1枚だけど、肌色がよくない、顔に影がある
・写真がぶれている
なども編集技術によって最適な遺影にすることが可能です。