テレビや雑誌でも取り上げられるなど一般的になってきた「終活」。生前に自分の考えを残しておこうと思う方も多いと思います。皆さんは「エンディングノート」「遺言書」「遺書」の違いをご存知でしょうか。似ているようですが、それぞれ役割があります。
今回は、終活に役に立つ「エンディングノート」「遺言書」「遺書」について紹介します。
遺書とは
遺書とは、自分の思いや志を伝えるための文書です。メモ書き、レポート用紙、原稿用紙など形式に決まりはありません。一般的に、家族や友人宛に書かれますが、会社や学校に向けて書かれることもあります。法的な効力はないため、書かれていることを守らなければならない義務はありません。自筆で書くことが多いです。
遺言書とは
遺言書とは自分の死後、誰にどの程度の財産を相続さるかを明確に記した文書のことです。法定効力がある一方、指定の形式が守られていなければ無効となるため書く際は注意が必要です。
遺言書のメリットとしては次のことが挙げられます
・相続争いを避けることができる
・相続税申告で困らない
・法廷相続人でない人に遺産を相続できる
遺言書の書き方には次の三種類があります。
・直筆証書遺言
遺言者が、遺言の内容全文を自書して作成する方法です。
・自筆で記入する(ワープロやパソコン作成や、代筆は不可)
・いつ書いたか日付を明記する、
・誰に何を残すのか明確に記入する
・署名と押印が必要
このように形式が決まっています。作成は簡単ですが、形式や内容に不備があると無効になる可能性もあります。市販では遺言書キットなどもあります。
直筆証書遺言は、相続を開始する際に、家庭裁判所にて必遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造を防止する「検認」と呼ばれる手続きが必要となります。
・公正証書遺言
遺言する人が自ら公証役場の公証人に直接内容を伝え、遺言書を作成してもらう書き方です。作成の際は二人以上の証人が必要です。死後に検認の必要がなく、原本は公証役場で保管されます。元裁判官など法律の専門家が作成するため、遺言内容が正確に残すことができ、偽造の心配もありません。死後すぐに手続きが出来ます。手数料は財産額によって異なりますが、一般的に数万円からです。
・秘密証書遺言
自分で作成した遺言書を署名、押印、封印した上で、公証役場へ持って行く残し方です。直筆証書遺言と同様、検認が必要となり本人のものであることを公証人と二人以上の証人に証明してもらいます。封をして中身が空けられない状態で持って行くので、相続に関して他社に遺言書の中身を知られることが無い点がメリットです。一方、内容を確認できない為、不備があると無効になる恐れもあります。公証役場に預けた遺言書は、死後、公証人によって遺言の存在を明らかにされます。
エンディングノート
エンディングノートとは、自分にもしものことがあった時に伝えておきたいこと書いておくものです。名のとおりノート形式になっていて、書店やインターネットで購入したり、終活セミナーなどでもらえるケースもあります。文書にそって質問に従って記入していくと必要な情報を書き漏らすことなく残すことができます。遺言書や遺書に比べて書き始めやすく、内容も、介護や終末医療、自分史など死後に限定せず多岐にわたる点が特徴です。遺書と同様、法的な効力はありません。
エンディングノートの書き方の例については次の項目が挙げられます
・個人情報:自身の経歴、病気の記録、血液型など
・医療や介護:介護はどうするのか、臓器提供や、延命治療についてなど
・葬儀、お墓、供養:希望の供養方法、参列してほしい人、葬儀の宗派など
・資産、お金:保険、預貯金、金融資産、負債、遺言書の有無
・ネット上の情報:SNSのログイン情報、パソコンのデータについて
・家族などへのメッセージ
また、死後だけでなく生前にエンディングノートに、加入保険やかかりつけの病院、どこのクレジットカードにはいっているか など大切な情報を残しておくと、緊急の入院やお財布を紛失した時などに有効です。
まとめ
遺書、遺言書、エンディングノート、それぞれの役割の違いをお分かりいただけたでしょうか。3つを比較すると、遺言書だけが法的効力をもつものということが分かります。相続する財産がある方は、遺言書を優先して用意するのも良いでしょう。また無効にならない為に形式や内容の確認も重要です。
また、どの文書にしても、読んでもらえなければ意味がありません。だからといって、普段から目にできる場所に置くのも考えてしまいます。信頼できる家族に文書の存在を知らせて、もしもの時にすぐに読んでもらえるようにしておきましょう。
終活とは人生の終わりに向け、前向きに準備することでさらに良く生きていくことです。
遺書、遺言書、エンディングノートについても、いざという時のために、家族や友人に残しておきたいことや内容に応じて、どれが自分に適しているか考えてみてはいかがでしょうか。