葬儀社から出された見積書の見方を知る

葬儀料金の見積書の記載方法は葬儀社によって違う

葬儀社の見積書は各葬儀社によってフォーマットの違いがあり、一様ではありません。

書式(フォーマット)が統一されているわけではないので、ある葬儀社の見積書には書かれていて、別の葬儀社の見積書には書かれていないという費目もあります。

葬儀の前に、葬儀料金を複数社に依頼して見積書を出してもらい比較検討する場合、この費目にも注意して読み解くことが必要です。「葬儀一式」と書かれていたら、この費用の他に、書かれていない費用には何の費目があるのか、細かく知る必要があります。

よく確認せずに葬儀の契約をしてしまうと、場合によっては、別途かかる費用がかなりな比重を占める場合もあります。

葬儀料金の見積書の記載方法の特徴や注意点を知って、よく理解した上で、葬儀の契約を結ぶことが大切です。

葬儀社が事前に示せる見積書の内容

葬儀費用は、大きく分けて「葬儀本体費用」と「葬儀関係費用」に分けられます。

葬儀社が事前に示す見積書に必ず記載されるのは、葬儀社が自身で行う「葬儀一式の葬儀本体費用」です。

この費用なら、葬儀社自身が直接提供するサービスの為、あらかじめ料金設定ができているのです。

いわゆる定価が設定してある部分で固定の金額の費目です。

内容的には、枕飾り、葬儀で使用する祭壇や仏具一式の費用であったり、白木のお位牌(四十九日まで使用するもの)、遺影写真、ご遺体の保存処置料・安置料・メイク料、棺、ドライアイス、ご遺体搬送車の費用、司会進行係やその他のスタッフ費用、式場料金、式場受付セット、式場看板、道筋に立てる案内看板、死亡診断書取得や火葬許可証取得等の手続き代行料金、火葬場へ移動する際のご遺体の寝台車と遺族の移動用マイクロバス等です。

場合によっては、火葬場がだいたい希望したところでできる場合(混んでいない地方)等では火葬料金も記載される場合もありますが、亡くなった日にもよるところがありますので、必ずしも火葬は予定通りにはいかない場合もあります。

以上のようにあらかじめ示せる見積料金の範囲は限られています。

葬儀によって金額が変動する費目を知る

葬儀本体の料金は、葬儀社であらかじめ定価設定しており、パック料金やプラン料金として示すことができます。

その内容は葬儀社自身で、直接サービス提供できる内容だから明確な料金を示せるのです。

一方、葬儀関係費用では、他のサービス会社を利用したり、会葬者の人数によって変動したりする部分があり、葬儀前には、はっきりと示すことができない部分の料金なのです。

僧侶に支払うお布施やお車代・お膳料・戒名料

葬儀料金一式の中に読経の料金、僧侶1人の場合と3人の場合等に分けて料金説明があり、あらかじめ示せる場合もありますが、遺族側に菩提寺等があり、そちらから僧侶をお願いする場合等、お布施やその他の金額はあってないようなものなので、別途、そちらの僧侶を呼ぶ場合の相場のお布施料金が適用されます。

一番、お布施の料金が差が出やすいところと言えます。

僧侶に読経してもらう場面でもお布施金額は変わってきます。

直葬・火葬式の場合の読経では5万円程度であるのに対し、通夜と告別式の両方頼んだ場合には、15万円程度が相場です。

高名な僧侶や人数が3人等の場合は、戒名を付けてもらう金額も高額になり、100万円近く支払う必要が発生してしまうこともあるので、我が家の経済状況と照らし合わせて考えることが重要です。

葬儀費用の変動費目で怖いのはこのような部分の費目なのです。

会葬者の人数により変動する費目

実は会葬者の人数により変動する費目が一番当初の見積もりではわからない部分でもあります。

会葬者の中で通夜振る舞いに参加して頂く人数が多ければ、その分、通夜振る舞いが必要で発注しなければなりませんし、会葬者への返礼品や会葬礼状の数も会葬者の分必要です。

あらかじめ、家族葬や一般葬等の葬儀の規模をある程度決めておくのはそのためもあるのです。

会葬者の人数が大きく違うことで、予算とかけ離れた返礼品の数や会葬礼状の数を用意しなければならないようでは大変です。

ある程度、葬儀の規模を決定しておくことで当初の予算にマッチした見積書と現実にかかる費用を算出した見積書との乖離を防ぐ目的もあるのです。

また、葬儀は人のお世話になって故人を送り出すものですから、いくらパック料金になっていても、バスやハイヤーの運転手さんや、民間の斎場であれば、会館の管理人などの方々に2000円~3000円の「心付け」を渡す人もあります。

これは、その遺族の自由なので当然見積書には載ってきませんが、そのような慣習のあるところでは、慣例にならうことにもなるでしょう。

葬儀の費用は、パック料金、プラン料金だけでは推し量れない部分が多くあるので、我が家の懐事情と相談してできるだけ細かな費目を洗い出して、よく注意して決めなければならないのですね。

住み慣れた家から送る自宅葬

再び視線が向けられている自宅葬

自宅葬とはここ半世紀ほどは、あまり聞かない葬儀プランでしたが、昔は結構自宅葬をする家がありました。

葬儀社が近年目覚ましい発展を遂げ、公営の斎場のみならず、新しくて綺麗な民営の斎場が増加するのに伴い、葬儀のプランも次第に豪華になり、綺麗な斎場で大勢の会葬者に見送られて火葬場に向かうというスタイルが定着しました。

一時は、絢爛豪華な金をふんだんにあしらった大きなリムジンの霊柩車なども話題になりました。

そうした変遷を経て、今また自宅葬にまた視線が向けられています。少子高齢化社会を迎え、日々亡くなる人も増えつつあります。

そうした中で需要に応えるべく新しい斎場は次々と建設されていますが、火葬場の供給は追いついていません。

受け入れてくれる火葬場が確保できなければ斎場に何日も遺体を安置できないため、近年再び、自宅安置から自宅葬を行い火葬場へ送り出す自宅葬に視線が向けられるようになりました。 

葬儀社が設営してくれる

葬儀会場を利用する場合と比べて、普段生活している自宅を利用するのですから、会葬者の方に来て頂きやすいように、生活の物でごちゃごちゃしている家の中をすっきりと見せるために幕を張ったり、ご遺体の安置場所を作ったり、玄関先に提灯を掲げたり、しなければなりません。常に掃除が行き届いてすっきりとしている葬儀会場を利用する場合は、そのような手間は発生しませんが、一般のご自宅では、会葬者を迎えられる準備が必要となります。葬儀社にとっては決して楽な仕事ではありませんが、ご遺族の方にとっては、移動の負担や時間に追われるストレス等が大幅に軽減されます。特に高齢のご遺族等では、普段介護ベッドに横たわっている方も多く、例え一日だけでも外出して斎場で過ごすのは、大変体に負担がかかります。葬儀の後に体調を崩されては大変ですから、斎場で行う場合は葬儀にやむなく欠席されたりする場合も見受けられます。ご自宅安置の自宅葬なら、高齢のおじいちゃんの葬儀に高齢のおばあちゃんがゆっくりとお別れをして見送ることができます。こうした希望もあって近年自宅葬を選択する遺族もあります。自宅葬というと、遺族の準備等にかかる人手や負担が大変ではないかと思いがちですが、そんなことはありません。葬儀ができるように葬儀社のスタッフが家の外と中をすばやく設営してくれます。遺体の安置からミニ祭壇の設置、仏具の用意等必要なものは全て揃えてくれますし、自宅の外に立って、会葬者の案内もしてくれたりします。お斎(通夜振る舞い)に関しても、デリバリーで調達してくれたりしますので、設営や準備に関しては遺族は何も心配する必要はないのです。

自宅葬を選択する意味

自宅葬を選択することで、普段介護ベッドに横たわって過ごす時間の多い高齢者のご遺族にも故人とのお別れがゆっくりとできるメリットをお伝えしました。

自宅葬であれば、ご遺体の安置してある葬儀で使う部屋から、普段ベッドの置いてある部屋へさがって休むことも可能となります。

移動も同じ家の中なのであまり負担はないでしょう。

こういった高齢の遺族に優しい葬儀スタイルとして自宅葬を選択する意味は十分あるでしょう。

また、故人の側に立って考えてみると、長い間、病院で闘病していて自宅に長らく帰っていないという場合、一度自宅に帰りたかったという気持ちを抱いて亡くなる場合もあります。

そうした故人の気持ちをふまえて最後は住み慣れた自宅から送り出してあげることが供養になるのではないかという考えもあり、自宅葬を選択する遺族もいるのです。

住み慣れた自宅から送り出す自宅葬ですが、葬儀社のスタッフが設営から必要な物の準備、僧侶や人手の手配等、何不自由なく葬儀ができるように段取りしてくれますので、遺族は安心して任せて良いでしょう。

会場が自宅になったというだけで、ご近所様や親戚に手伝いを頼まなければならないという負担はありません。

近くに斎場が無い場合や、火葬場まで遠い、火葬場が混んでいていつ火葬できるのか予約状況が不安だという場合にも、自宅安置で自宅葬なら、ご遺体の行き場を失う心配もありません。

葬儀は住んでいる地域の実情やご遺族の年齢や体調、故人の思い等を鑑みて最善の選択をすることが重要です。

自宅葬がこうして最善の選択肢になることも十分あり得るのです。