数珠について

仏式の葬儀に参列する際、必要な持ち物に「数珠」があります。数珠といっても種類はさまざまで、宗派によって色や形が異なります。今回は、数珠について意味や種類などを紹介します。

数珠の意味・歴史

数珠は、仏様に合掌礼拝する際に使うもので、仏教徒であることを象徴しているものです。念仏を唱える際に手に掛けることからお念仏とも呼ばれます。数珠の歴史としては、はじまりはインドといわれており、中国や朝鮮、チベット、日本の北方仏教に普及しました。この頃の数珠は大変貴重で高価なものだったので、庶民が使うことはなく、一部の貴族や僧侶が使用していました。数珠が庶民へ浸透していったのは平安末期から鎌倉時代と言われています。この時代の数珠は、各宗派によって改良されて、現在とほぼ同じ形になりました。そして、江戸、元禄と仏教が栄えるとともに、数珠も普及し、現在の日本でも広く使われるようになりました。

 

数珠の数と種類

数珠の数は基本は108個の玉を使います。この108という数は、仏教では煩悩の数といわれています。煩悩は私たちを苦しめる元凶とされており、例えば、大晦日の除夜の鐘は108回つきますが、これは煩悩を払うためとも言われています。数珠の玉1つひとつが108の煩悩を司る仏様とされ、人間のあらゆる煩悩を数珠が引き受けてくれます。古来より厄除けや身を守るお守りの役割があるといわれています。この108を基本として、54や27などの数の数珠も使われます。

数珠の玉には、種子、石玉、木玉などが使われ、中でも、菩提樹の種子がお釈迦様の縁に深く最高とされています。菩提樹には、龍眼・天竺・金剛などの種類があります。また、杏・梅などの種子や、紅梅・桑などの木玉、翡翠・水晶などの石玉、その他、ガラス・プラスチック・象牙もあります。このように、数珠の種類はたいへん多いです。用いるものとしては、双輪や方手持ちのものが一般的です。

 

数珠の正しい持ち方

法事の際における数珠の正しい掛け方をご紹介します。

  • 座っている時は数珠を左手首に掛ける
  • 立つ時は、数珠の房を下にして左手で持つ(数珠が長い場合は二重に巻く)
  • 合掌する時は、両手に数珠を掛ける。この時、房は下に垂れ下がるようにする。
  • 焼香の時は、数珠を左手に持ちかえて、右手で焼香する

 

その他、数珠は基本的に貸し借りしないで、一人ひとずつ持つものです

 

数珠の選び方

数珠を購入する際、どれも同じに見えて何を購入して良いか迷ってしまう方も多いと思います。実は宗派によって形状が異なるのです。

・本式念珠と略式念珠

本式数珠とは、正式なもので宗派ごとに決まった形があります。珠の数が正式な108個。輪を二重にして握る二連珠です。一方、略式数珠は、どの宗派でも使える一重の物です。珠の数は半分の54個、三分の一の36個などで作られています。数珠を初めて購入する場合は、宗派を問わない略式念珠がおすすめです。本式念珠を購入する際は、自分の宗派のものを選びましょう。

男性用と女性用

数珠には、男性用と女性用があり、数珠の珠の大きさや数が違います。

男性用の場合、珠の数は18、20、22で、基本的な珠のサイズは10mm~18mmです。珠数が多い程、1珠のサイズは小さくなります。22個の数珠を選ぶことが一般的とされています。房の色には決まりはありませんが、男性の場合は、青や緑、茶色など落ち着いた色が多く選ばれます。

女性用の場合は、略式念珠の他に、主珠が108個ある八宗用数珠といわれものがあります。

珠のサイズは6mm~8mmが主流です。房の色は、女性らしいピンクや水色、紫色を選ぶ方が多いです。尚、房は付け替えができるので、好みに合わせて違う色に変えることもできます。素材は、水晶などの天然石や選ぶ方が多いです。

子供用の数珠もあります。子供用は、珠の大きさ、輪の長さ共、お子様の小さな手に合うように作られています。素材は、ガラス玉や、割れにくいアクリルなどで作られています。

 

数珠の扱い方と手入れ

数珠は、折らない、ねじらない、揉まないという3点をポイントに大切に扱いましょう。大切に扱えば自然に切れることはありません。しかし、長年使用していると、紐が弱くなるため、切れる前に紐を取り替えましょう。お直しができるお店もあります。

数珠の種類によっては、毎回の手入れが必要なものもあります。例えば、サンゴや真珠などの素材は、汗や油に弱いため、使った後は柔らかい布でやさしく拭きましょう。水や石鹸などを用いて洗うことは避けてください。保管する場合は、霧箱や数珠袋に入れましょう。

数珠を処分する場合は、自分の宗派のお寺に納めることが望ましいです。同時に新しい数珠を購入する場合は、お店が引き取って代わりに納めてくれることもあります。

 

数珠はただ単に持っていればよいという事ではなく、その意味や正しい使い方があることをぜひ知っておきましょう。葬儀や法事の際は、適切な数珠を選ぶことが大切です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葬儀に数珠を持っていく理由

葬儀に参列する際の持ち物として数珠が挙げられますが、その意味を理解してるという人は少ないのではないでしょうか?

「葬儀の持ち物のひとつとして何となく持って行っている」「みんなが使っているのと同じように使っている」という人も多いですよね。

実は数珠にはきちんとした意味があり、使い方も決まっています。

ここでは、そんな数珠の由来・意味や使い方についてお話ししたいと思います。

【数珠の意味】

お葬式は無宗教式でない限り、何らかの宗教的な儀式を行うものとなります。

こうした宗教的な儀式を行う際には儀礼道具を使用する決まりがあり、仏教の場合は儀式に必要な道具のことを「仏具」といいます。

宗派によって仏具も異なりますが、共通しているのが「数珠」です。

仏教の仏様にはたくさんの種類があると言われていますが、数珠の一つ一つに仏様が宿っていると言われています。

仏教で私たちの住んでいる一般的な社会のことを俗世と呼び、俗世は仏様がいらっしゃる世界とは異なり、様々な煩悩が付いて回るとされています。

数珠を見に着ける事で仏様が人間の煩悩を引き受けてくれると考えられており、数珠は仏様に守ってもらうためのお守りのようなものであると考えられています。

その為、数珠には厄除け・魔除けの意味があると考えられ、大切に扱われているのです。

 

【葬儀で数珠を持つ意味】

厄除け・魔除けの意味が数珠にはあると言われていますが、元々は仏様に礼拝するための道具です。

仏様は大変位の高い存在である為、礼拝する際には失礼に当たらないように数珠を身に着けます。

仏様に敬意を表すように、亡くなった人に対しても敬意を表すという意味で葬儀でも数珠を使うと言われています。

 

【数珠の持ち方・使い方】

・持つときは左手

数珠を持ち歩く際は、左手に持つのが基本とされています。

本数珠の場合は2連にした状態で持ちましょう。

・合掌する時

合掌する際は、数珠をかけ両手を合わせた状態から親指だけを外します。

略式数珠の場合は数珠のサイズが小さいため、左手だけに数珠をかえても問題ありません。

その際も親指は外しておきます。

・数珠を持ってのお焼香

基本的に葬儀の間は数珠は左手に持ったままで、軽く握っても良いですし、手首にかけても良いとされています。

お焼香の順番が来たら祭壇の方に行き、遺族に一礼・祭壇に向き直って一礼します。

右手で抹香をつまんで、額のあたりに右手をもっていき、香炉の左の火のついたあたりにくべます。

宗派によってはおしいただかない場合もあり、お焼香の回数も1~3回と様々となるので事前に確認しておくと安心です。

抹香をくべ終わったら、左手の親指と人差し指の間に数珠をかけて合掌を、一礼します。

その後は、僧侶や遺族に一礼してから席に戻ります。

 

【注意する事】

・数珠は人に借りてはいけない

参列する際に数珠を忘れてしまったからとって、誰かに数珠を借りるという事はやってはいかないとされています。

数珠には持ち主の魔除け・厄除けという意味がある事から、「数珠を借りる・貸す」という行為は「仏様の加護を貸し借りする」という事になってしまいます。

数珠がない場合でも誰かに借りるという事はマナー違反となってしまうので注意しましょう。

・数珠が切れたら・・・

長い間数珠を使用していると、玉をつなげていた糸が切れてしまう事があります。

数珠がバラバラになってしまうなんて何だか不吉に思う人も多いでしょう。

しかし、数珠切れたのは仏様が悪縁を切ってくれたしるしであると考えられています。

数珠の専門店で購入したものであれば、バラバラになっても修復してもらえますし、弱ってきた糸や汚れや褪せてしまった房も交換してもらえるので相談してみると良いでしょう。不吉と思い処分してしまうのではなく、悪い縁が切れたのだとその後も大切に使用していきたいものですね。