火葬場での流れ

「葬儀」や「告別式」とは違い、火葬場への同行は限られた方のみとなります。あまり同行することのない火葬場で、落ち着いて行動ができるよう、流れを簡単にまとめました。

火葬場に向かうまで

 

火葬場に向かう際、ご遺族や親族は自家用車あるいはマイクロバスやタクシーなどを利用して向かいます。

棺を乗せた霊柩車には運転手と葬儀社の方が乗ります。

それに続く車に、僧侶と喪主と遺影を持ったご遺族が乗ります。

※一般的に、親族全員が火葬場へ向かうのではなく、留守番役として数名残ります。

留守番役は、葬儀や告別式後の会場の片付けや掃除、また香典の管理を行います。

また、遅れてきた弔問者の対応や、ご遺骨を迎える準備などを行います。

※親族以外に、故人が親しくしていた知人や友人も、同行することがあります。

ただし、ご遺族の側から同行をお願いされた場合や、知人や友人の側から同行の申し出があって、ご遺族が承認した場合に限られます。

 

火葬場での流れ

納めの式

火葬場へ着くと、「納めの式」を行います。これは、故人との最後の別れで、火葬炉の前に棺、位牌、遺影を置いた状態で行われます。

僧侶が読経を行い、焼香を僧侶に引き続き、喪主、ご遺族、同行者の順に行います。

火葬

「納めの式」が終わると、一同合掌で見守る中、棺が火葬炉に納められ、「火葬」が始まります。時間は30分から1時間前後かかるので、その間は控室で待機することになります。お茶やお菓子、場合によっては昼食が出されます。ご遺族にお悔やみを伝えつつ、故人の思い出話をして過ごします。

骨上げ

「火葬」が終わると、「骨上げ」という儀式が行われます。これは2人1組で行うもので、両側から同時にひとつの骨を竹箸ではさんでつまむ形で拾い、骨壷に納めます。

この儀式は、三途の川を渡るときの手助け、「橋渡し」をするという意味合いがあります。順番は、故人と縁の深い順番で行われます。

どの骨を納めるのかは、火葬場の担当者から指示があればそれに従います。一般的にはまず歯を納め、次いで下半身の骨から順に納めていき、故人と最も縁の深かった人が喉仏の骨を骨壷に納めて終わりとします。

※喉仏の骨の形が、合掌する仏様(お釈迦様)に見えるため、骨壷の一番上に来るように最後に拾います。

※関西地方は、喉仏の骨だけを骨壺に納め、手元(仏壇)で供養するところもあります。

※浄土真宗では、喉仏だけ別の骨壺に入れて分骨します。

 

その後、葬儀場や寺、自宅などに戻り、お骨になった故人を供養する「還骨法要」の儀式を行います。最近では、「還骨法要」に続いて「初七日法要」、「精進落とし」までを行うことが多くなっています。

「精進落とし」は本来、四十九日法要を終えた後に行うものですが、遠方などから親族が集まる負担をなくすことと、親族や親しい知人や友人が集まっている機会を大切にする心から、火葬後の法要と併せて行う方法は支持され広まっています。

 

故人と深い関わりのある限られた方だけで行われる火葬場では、特に失礼のないよう落ち着いて、故人と最後のお別れをして下さい。

火葬許可書について

大切な家族を亡くした深い悲しみの中にあっても、遺族は通夜・告別式の手続きの他、故人に関する事務的手続きを行う必要があります。そうした手続きには様々な書類が必要となりますが「火葬許可書」は故人の火葬、埋葬になくてはならない重要な書類となります。火葬許可書についてみていきましょう。

「火葬許可書」の発行の大まかな流れについて

「火葬許可書」とは亡くなった人のご遺体を火葬もしくは埋葬(土葬)する際に必要な書類で、市区町村の役所で発行されます。なお、家族、親族が死亡した場合、死亡届は死亡を知った日から7日以内(海外で死亡した場合は3か月以内)に役所に提出する必要があります。

✓医師が死亡を確認後、死亡診断書を発行

✓医師から渡される死亡診断書と一通になっている死亡届に必要事項を記入、押印する

✓死亡診断書、死亡届を同時に市区町村の役所(戸籍係)に提出する

 (提出できるのは死亡地、死亡者の本籍地、届出人の住所地の役所に限られます)

✓火葬許可書を受け取る

というのが火葬許可書を受け取るまでの大まかな流れとなりますが、この手続きは通夜・葬儀を依頼した葬儀社が代行することが通例となっています。公営葬祭サービスを利用する場合など、家族が自ら届け出て、火葬許可書を受け取る必要があります。

 

火葬許可書を火葬場の管理事務所へ提出することでご遺体の火葬が許可されます。

火葬後は、火葬場の管理者が火葬を証明する証明印を押印した火葬許可書がご遺族へ返却されます。この返却された許可書は「埋葬許可書」として遺骨を墓所に埋葬する際に必要となります。

 

「埋葬許可書」とは

火葬執行証明済の火葬許可証は一般的には「埋葬許可書」と呼ばれ、ご遺骨を墓所に納骨する際に墓地などの管理者に手渡す必要があります。納骨は四十九日の忌明け法や一回忌、三回忌といった年忌法要のタイミングで行うご家庭が多い一方、墓所の準備やご家族のご都合などによって何年も先になるということもありご事情によって様々です。

 

納骨までに「埋葬許可書」の紛失がないよう、埋葬許可書を骨壺とともに桐の箱に収めて遺族に渡すという火葬場も多く見受けられます。納骨時以外は必要のある書類ではないので、火葬場で埋葬許可書を手渡しされた場合でも、骨壺と共に桐の箱に入れて保管することをお勧めします。納骨をせずに手元供養をするケースも増えていますが、何年か先にでも納骨を希望することがあれば埋葬許可書が必要になるので必ず保管しておきましょう。

 

故郷にある先祖代々のお墓と自宅近くに購入したお墓の2か所に納骨するなどといったように、ご遺骨を分けて埋葬する「分骨」を希望している場合は、墓所ごとに埋葬許可書が必要となります。先のケースでは2通の埋葬許可書が必要です。火葬のタイミングで分骨が決まっている場合にはその旨を火葬場に申し出ます。火葬場によっては「分骨証明書」という書式で発行されることがあります。

 

「埋葬許可書」を紛失してしまった場合

万が一「埋葬許可書」を紛失してしまった場合は、火葬許可書を発行した市区町村の役所に申し出る必要があります。市区町村の役所では火葬許可書発行から5年以内は火葬許可申請書を保管しているので、本人確認ができる確認書類と印鑑があれば再発行の手続きをとることが可能です。埋葬許可証再発行の申請は①死亡届を役所に届け出た人②故人の直系親族又は祭祀継承者に限定されています。

 

火葬許可書の発行から5年以上が経過している場合には斎場が発行する火葬証明書を用意する必要が出てくるなど再発行が困難になるケースもあります。納骨が何年も先になることが予想される場合は特に埋葬許可書は慎重に管理する必要があります。