代理でお通夜やお葬式に参列する際のマナー

仕事の都合や体調などにより、職場の上司や配偶者などのお通夜、または葬儀や告別式への代理参列を依頼される場合があります。ここでは、「代理でお通夜やお葬式に参列する際のマナー」について、ご紹介します。

御香典の準備

一般的には、依頼する方が用意します。

事前に用意するのが難しい場合は、代理人側で御香典の用意をします。その場合、表書きには、依頼者の名前と左下に「代」の文字を書きます。依頼者が配偶者の場合は「内」の文字を書きます。

受付

受付では、お悔やみのことばを述べて、事情があって依頼者が参列できない旨を簡潔に説明します。具体的には、「この度は、大変ご愁傷様でした。本日は故人様とご縁の深かった○○が□□のため、代理で伺いました。心よりお悔やみ申し上げます。」と述べ、御香典をお渡しします。

名前の記帳の仕方

◆職場の上司の代わりに出席する場合

会社名、上司の所属部署名、役職名の下に上司の名前をフルネームで記入し、「代」もしくは「代理」と書きます。

自分自身も、故人と面識がある場合は、「代」の下に名前を書きます。単なる代理の場合は、代理の下に代理人の名前は書かなくても構いません。ただし、受付で、代理人の名前を記帳するように言われた場合には、名前を記帳してください。

◆妻が夫の会社関係や友人などの葬儀に代理出席する場合

夫の名前の下か横に「内」という文字を記帳します。

故人が親戚関係であったり、自分自身も面識のある方の場合は、「内」の下に名前を記入します。

◆親の代わりに代理出席する場合

親の名前を記帳し、その下に「代」もしくは「代理」と記入します。

◆故人が自分自身も参列する間柄の方で、親や友人などから御香典を預かっている場合

自分自身の名前を記入したあと、御香典を預かってきた方の名前を別欄に記帳します。

住所の記帳

依頼者の住所を記載します。会社の代表として参列する場合は、会社の住所を記載します。

※名刺を預かっている場合:預かった上司の名刺の右上には、「弔」という文字を記載して、受付でお渡しします。

代理人の名刺は、受付から求められた時にはお渡しするようにします。代理人の名刺の右上には、「代」という文字を記入します。

お通夜やお葬式の振る舞い

もし、ご遺族と会話をする機会があれば、簡単なお悔やみの言葉と代理である旨を伝えるようにします。

お通夜の場合、通夜振る舞いを勧められたら、できれば一口でも飲み物や食事に箸を付けるようにすると、依頼者に代わって供養したことになります。どうしても抵抗がある時や、早く帰らなければいけない事情がある場合などは、丁重にお断りしても失礼とはなりません。

香典返し

代理で参列した方にも、香典返しが渡されます。まずは、預かっておいて、後日、依頼者に手渡しするようにしましょう。遠方ですぐに会えない場合は、郵送するようにします。

代理で参列する場合は、マナーを大切にし、依頼者に代わって故人の冥福を祈りましょう。

清めの塩について

日本のお葬式では、参列した際に清めの塩を配るのが一般的です。

これは邪気を自宅に入れてしまわないよう、帰宅前に塩を身体にふりかけて邪気をはらう為のものですが、なぜ塩にはそのような力があると考えられているのでしょうか?

何気なく使用している清めの塩も、実はきちんとした由来があり、使い方が決まっています。

そんな清めの塩についてお話ししたいと思います。

【清めの塩とは】

清めの塩はもともと神道で用いられるもので、神道では死を「穢れ」として扱っており、この穢れを祓う為に塩で体を清めます。

ここで勘違いしてはいけない事は、清めの塩で祓うのは故人の霊ではなく、人の死に際して寄り付いてきた邪気を祓うという事です。

しかし、宗派によって意見は様々で、仏教では死を穢れとは扱わない為清めの塩は必要ないとしています。

特に浄土真宗は、死による穢れを強く否定する立場にあり、清めの塩には反対しています。

このように宗派によって清めの塩に対する考えは異なっていますが、日本では今でも清めの塩が広く行われているのが現状です。

その理由としては、日本古来の宗教が神道であり、地方の習慣や迷信には神道が強く結びついている為だと考えられています。

日本では過去に「神仏習合」という神祇信仰と仏教信仰を一つの信仰体系とした宗教現象が行われており、その結果、神道と仏教の境界があいまいになったとされています。

それによって、主な宗教が仏教となった現代の日本でも清めの塩が残っていると言われています。

 

【塩で清めるのはなぜ?】

日本では、古くから死という現象は悪いものを呼び寄せる力があると考えられてきました。

現代のように科学的に死や病気について解明されなかった時代では、病気は目に見えない悪い物=「穢れ」とされていました。

特に死は、腐敗によって生前の姿を変化させてしまう為、人々に忌み嫌われていました。

そんな中、貴重な食品である魚や野菜などを塩漬けすれば腐敗から逃れられる事から、塩は腐敗を妨げる魔除け的な不思議な力があると考えられるようになったと言われています。

さらに、殺菌効果や温度による性質の変化もほとんどない為、塩には死を遠ざけたり邪気を払ったりする力があると信じられるようになりました。

 

【清めの塩の使い方】

・玄関をまたぐ前に行う

清めの塩は、家に帰ってきてすぐ玄関をまたぐ前に行います。

玄関の内側で清めの塩を行う人もいますが、そうしてしまうと穢れが家の中に入ってしまうと考えられている為、注意が必要です。

家に帰ってすぐ、自宅の門に入る前・集合住宅であれば玄関に入る前に行いましょう。

・振りかける順番

足元に振りかけるだけで終えている人も多いと思いますが、清めの塩には振りかける順番が決まっています。

正しくは「胸→背中→足元」の順番で3か所に振りかけます。

ひとつかみくらいの少量をかけ、その後手で払うようにしていきましょう。

・家に家族がいる場合

家に家族がいる場合は、自宅の玄関に入る前に家族の人に外に出てきてもらい、胸と背中・足元に塩をかけてもらうようにしましょう。

・参列後すぐに帰宅しない場合

葬儀に参列した後、帰宅しないでそのまま職場や別の場所に向かう場合、葬儀会場を出た際に、足元にお清めの塩をまいて踏んでいきましょう。

 

【葬式で行われているお清め】

葬儀の際に行われているお清めは、清めの塩だけではなく食事もお清めの一つであると考えられています。

お通夜の後に通夜振る舞いを行いますが、これにはお清めの意味があります。

食事には生きる為の活力を得るという意味があり、葬儀で落ち込んだ気力を回復させたり、邪気を祓ったりする役割があるとされています。

また、通夜振る舞いで振る舞われるお酒には邪気を祓う力があると考えられており、お酒は神が作ったともいわれていることから、神聖な力があると考えられています。