エンゼルケアについて

長い闘病生活の末に亡くなった場合など、元気だった頃とは違う姿で死を迎える事があります。

そんな時、家族は綺麗な姿で送ってあげたいと思う人は多いはず。

そんな気持ちを形にしてくれるのがエンゼルケアです。

近年では、病院で亡くなった場合にエンゼルケアが行われるのが一般的になってきました。

そんなエンゼルケアについて、エンゼルケアはどんなものなのか・どんな意味があるのかなどをお話ししたいと思います。

【エンゼルケアとは】

人が亡くなった後に行う死後処置と、死化粧などをまとめてエンゼルケアと呼びます

一般的に、病院で亡くなった場合は看護師や病院が提携している業者が行ってくれます。

場合によっては料金がかかる事もありますが、無料~数万円となっており病院によって様々です。

 

【死亡後の処置】

昔から人が亡くなったら、遺体を沐浴させる湯灌(ゆかん)が親族の手によってお行われていました。

しかし、現在では病院で最後を迎える人が多くなり、看護師によって身体をアルコールに浸した脱脂綿で拭く清拭をしてもらうのが一般的になり、湯灌を行わない事が多くなってきました。

湯灌を希望する場合は、葬儀社などの専門業者に依頼し、費用は10万円前後で可能となっています。

 

【エンゼルケアですること】

海外では、死後の処置についてマニュアル化されている国もありますが、日本ではそのような制度がなく、病院の方針や生前の患者の意思・ご家族の希望などを考慮したエンゼルケアを行う事が多いです。

そのため、エンゼルケアの内容は病院によって異なります。

一般的には次のような事が行われます。

 

・医療機器を外した後の手当て

・治療で出来た傷の手当

・身体の清拭

・鼻、口、耳への脱脂綿詰め

・着替え・死化粧

 

病院では、看護師だけでエンゼルケアを行う場合や、遺族ケアの観点から家族と看護師が一緒に行う場合もあります。

 

【エンゼルケアの目的】

・故人の尊厳を守る

闘病の末に病院で亡くなった場合、点滴などが挿入されていたり、長い間入浴できなかったなどの事情で、身体や着衣が汚れている事があります。

人生最期にそのような姿で旅立たせてしまうと、人間としての尊厳を守る事が出来ません。

人生の最期をその人らしくいられるようにエンゼルケアをします。

 

・家族の心のケア

闘病生活が長く続いていた人は、頬がこけていたり黄疸がでているなど、入院前とは違う容姿になっている事があります。

そのような姿を見るのは家族にとってはとても辛い事であり、家族にとっての患者の最期の姿の思い出が入院前とかけ離れた外見だった場合、死をなかなか受け入れられないケースもあります。

そのため、エンゼルケアによってその人らしい外見に整える事で家族の心のケアも出来ると考えられています。

 

・感染予防

鼻腔や口腔、挿入物が入っていた部位などから体液や血液が漏出して、家族や葬儀業者に付着してしまい、感染させる可能性があります。

それらの感染を防ぐためにエンゼルケアを行います。

 

【エンゼルメイク】

身体の死後の処置が終わると、最後にエンゼルメイク(死化粧)を行います。

一般的にクレンジングからスタートし剃毛していきます。

保湿クリームを塗った後にファンデーションを用いて化粧をしていきます。

ファンデーションは蒼白化した顔に血色を取り戻すように、少し明るめの色を選んで使用します。

また、傷がある場合などはカバーワックスなどを用いて目立たないようにしていきます。

化粧はどんな感じが良いのか、家族や化粧をしてくれる人と相談して進めていくとで、生前の好みのメイクや、元気だった頃の顔の感じに近づけていくことが可能です。

男性の場合も、メイクをする事で自然な表情でお別れする事が出来ます。

 

骨葬について

近年ではお葬式も様々な形で行われるようになり、葬儀に関する事も選択肢が増えてきました。

一般的に葬儀・告別式の後に火葬を行う事が多いと思いますが、先に火葬を行ってから葬儀を行う骨葬(こつそう)という葬儀の形がある事をご存知でしょうか?

伝統的に骨葬をおこなっている地域もありますが、骨葬について知っている人の割合は多くはないのではないでしょうか。

そんな骨葬についてお話ししたいと思います。

【骨葬とは】

日本の葬儀では一般的に、祭壇の前にご遺体を安置しお通夜・葬儀・告別式が行われ、その後に出棺し火葬となる流れが多いです。

それとは異なり、お葬式の前に火葬を行い祭壇の上にお骨を置いてお葬式をすることを骨葬と言います。

火葬が先という流れが一般的な地域もあり、そこではそれが通常の葬儀となるので敢えて骨葬とは呼びません。

 

【骨葬が行われる理由】

地域によっては骨葬が一般的なところもありますが、それ以外の地域で骨葬が行われる理由として次のことがあげられます。

・ご遺体の状態

事件・事故によって亡くなられた場合や、亡くなられてから長時間経過してしまった場合などは、ご遺体の状態が良くなくそのまま安置するのは難しい場合があります。

そのような場合には、先に火葬を行う骨葬で葬儀を行う事が多いです。

・亡くなった場所と葬儀を行う場所が離れている

都市部に出てきていた人が亡くなった場合など、亡くなった土地で先に火葬を行い親族がお骨を故郷へと持ち帰って葬儀を行う場合があります。

海外で亡くなった場合などは現地で火葬をし、お骨になってから連れて帰るという選択をされる方が多いです。

ご遺体を長距離移動させる事が心配という面もありますが、費用の面で骨葬を選択する人も多く、本来ならばご遺体を連れ帰りたいところですが、遺体の搬送には費用が伴うので骨葬を選択するケースもあります。

特に遠距離の場合は高額になってしまう事が多く、海外からご遺体を日本へ搬送するためにはたくさんの手続きも必要となります。

・密葬や家族葬の後に、本葬や社葬を行うケース

著名人が亡くなった際に、まず身内だけで葬儀を行い後日、友人や関係者を招いて本葬や偲ぶ会・お別れ会などが開かれる事が多くあります。

取引先などが多く、たくさんの人が参列する事が予想される大規模な社葬の場合も、身内で家族葬を行った後に本葬が行われるのが一般的です。

 

【骨葬のメリット】

海外などの遠方からご遺体を故郷へ連れ帰る場合に、亡くなった土地で先に火葬を行う事で搬送の費用を抑える事が出来ます。

また葬儀についても、安置日数や火葬場の混雑状況などを考えなくてよく、日にちや時間帯を柔軟に設定出来るのも特徴です。

ホテルなどでは通常、ご遺体を安置することはほとんどの場所で不可能ですが、お骨であれば持ち込み可能という場合もあります。

大規模な葬儀やお別れ会などを行いたいという場合、骨葬を行う事で会場の選択肢が広がり、希望に沿った葬儀を行う事が出来る場合があります。

 

【骨葬のデメリット】

骨葬では先に火葬を行ってしまうので、葬儀に参列した際に参列者の方々が故人の顔を見てお別れする事が出来ません。

骨葬が一般的ではない地域では、お葬式で故人に直接会いお別れをしたいと思って参列される方も多いので、先に火葬を行う骨葬に疑問を持つ場合もあります。

近年ではお葬式の形も多様化してきていますが、骨葬が一般的ではない地域で骨葬を行う場合は、親族などの周りの理解を得てから進めると安心です。

また、密葬と本葬などで葬儀を2度に分けて行場合はそれぞれに費用がかかり、一度で葬儀を行う葬儀より高額になる事が予想されるので、金額の面でも注意が必要です。