無縁仏について

現在、現代社会の問題となっている少子化や人間関係の希薄化により、「無縁仏(むえんぼとけ)」が増えてしまっています。ここでは、「無縁仏」について、簡単にまとめました。

「無縁仏」とは?

「無縁」とは、死者を弔う縁者がいないという意味で、お葬式や供養をする親族や縁者がいない故人やお墓のことを指します。また、親族や縁者がいても、遺体の引き取りを断られた場合も、「無縁仏」という扱いになります。

「無縁仏」になると、一般的に、他の方の遺骨とともに埋葬されるため、どの骨が誰のものかわからない状態となります。

具体的に、どうなってしまうのか?

引き取り手のない遺体に関しては、地方自治体が引き取り、葬儀を行います。葬儀は、火葬し、遺骨を行政が管理する無縁墓地へと移すのみになります。無縁墓には、血縁関係などまったくない他人の遺骨も合祀されています。

また亡くなった後、お墓を管理する人がいなくなり、「無縁仏」になってしまうケースもあります。法律では、核家族化の進展や都市部への人口流出等による無縁墓地の増加に対応するため、1999年に「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」が一部改正されました。「墓地の使用者が一定期間以上管理料を支払わずに放置した場合、霊園などの管理業者は契約を解除し、墓地の整理を行う」という方針をかかげ、管理費を一定期間払われない状況が続くと、墓に眠っていた遺骨は取り出され、別の場所に移されることになります。一般的に、無縁仏となった遺骨は無縁仏を祀る施設や無縁墓に合祀されます。費用は、その墓地の管理者、もしくは自治体が負担するため、安置するときは、遺骨の一部のみを取り出して合祀されるか、より粉々に砕いて体積を小さくした状態で合祀されます。その後、引き取り手が現れても、遺骨が個別に管理されていない限り、取り出すことはできません。

「無縁仏」にならないようにするには?

◆亡くなる前に、管理不要の合祀墓を申込んでおいたり、「永代供養(えいたいくよう)」を掲げる墓地と契約することで、自分が亡くなったあとの心配が不要なお墓を選ぶことができます。

「永代供養」とは、「永代」は期限を設けずいつまでも、「供養」は弔いをすることという意味で、ご遺族や子孫に代わって、霊園や寺院などが、遺骨を管理したり供養をしてくれます。遺骨と、それにまつわる供養をすべて霊園や寺院へお任せすることが可能となります。ただし、「永代供養」といっても、寺院や霊園によって、個別の安置期間は異なり、一般的に、17回忌まで、33回忌まで、50回忌まで、という所が多いと言われています。その期間を過ぎた後は、ほかの遺骨とともに永代供養墓に合祀されます。

◆お墓があるけれど身寄りがなく、「無縁仏」になってしまう可能性がある場合は、墓じまいをして、先祖の霊を永代供養にして、自分の死後も供養してもらう生前契約を交わすことができます。

「無縁仏」となってしまわないよう、亡くなる前に事前に準備をしておきましょう。

家族葬のメリットとデメリットについて

2020年の新型コロナウイルス感染症拡大により、参列者を限定した「家族葬」を選ぶ方が急増しています。ここでは、「家族葬」のメリットとデメリットについて、ご紹介します。

「家族葬」とは?

明確な定義はなく、一般的に、ご家族や親しい友人を中心とした葬儀の総称として用いられています。

ご家族や故人様が、あらかじめ参列者の人数を決めておくことができる葬儀のかたちで、人数の制限はありません。例えば、一緒に暮らしていたご家族のみで、静かに故人様を送るのも「家族葬」になります。一方、生前にファミリーのように親しく付き合っていた仲間たちが集まり、100人以上で執り行う場合も「家族葬」と呼びます。

お伝えする目安は?

「家族葬」で、ご案内する範囲に決まりはありませんが、一般的に、葬儀をお伝えするご親族の目安は、二親等以内の血族になります。

具体的には、本人又は配偶者から数えて、二世を隔てた関係にある人までのことです。一親等にあたるのは、本人及び配偶者の両親と子供となります。二親等は、祖父母、兄弟姉妹、孫になります。

お伝えするか迷う場合は?

お伝えするか迷ったときは、お伝えするようにしましょう。

判断基準は「故人様が最期に、会いたい方かどうか」になりますが、その方がご親族の場合、後になってから「どうして自分だけ葬式に呼ばれなかったのか」と思われてしまう可能性もあります。

連絡しなかった理由が明確な場合を除き、迷った場合は、お伝えすることをおすすめします。

メリットは?

少人数で、親しい方の参列となる場合が多いため、ご遺族の参列する方への気遣いや準備などが軽減される可能性が高くなります。それにより、故人様とのお別れの時間をとりやすくなり、ご遺族や故人様と親しい間柄の人を中心とした思い出話などをして、故人様をゆっくりとお見送りすることができます。

また、故人様が生前に託した葬儀に対する希望や、ご遺族の希望も取り入れやすくなります。故人様やご遺族の思いを葬儀に反映させ、アットホームなお別れをしやすくなるのが最大のメリットです。

デメリットは?

故人様やご遺族の地位や立場、また地域によっては、「家族葬」を会葬者やご親族に受け入れてもらえない場合もあり、ご遺族に不満を持たれてしまう可能性があります。連絡がなく参列できなかった方に、のちほど苦言を言われるなど、トラブルにつながる場合があるため、注意する必要があります。

事前、事後に、「家族葬」で行う趣旨について、ご親族や故人様と親しかった方々、ご近所の方々に、充分に説明し、理解をしていただくようにしましょう。「故人の遺志で」「新型コロナウイルス感染症拡大防止のため」などという理由を、丁寧にお伝えするようにしましょう。

他には、葬儀後に、ご不幸を知った方がご自宅へお越しになり、結果的にご遺族が負担を感じてしまう場合もあります。

そして、「家族葬」では、一般の方からの香典がほとんど見込めないため、ご遺族の費用負担も大きくなることもあります。

「家族葬」のメリットとデメリットを把握して、葬儀の形を考えるようにしましょう。